目次
■Woven City(ウーブン・シティ)で実用性を検証
2021年夏に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックでの効率的な移動サポートや、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」を含む複数地域での運行を目指して、トヨタ自動車が開発を進めている次世代EV「e-Palette(イー・パレット)」。
同社は2020年12月22日、実用化に向けて進化したe-Paletteのオンライン発表会を開催しました。
発表会ではコネクティッドカンパニーの山本圭司プレジデントから、「e-Palette」の複数台協調走行を実現する新たな運行管理システムのデモンストレーションなどが公開されました。
同社は今回、「必要な時に、必要な場所へ、時間通りにいける」、また「必要な時に、必要なサービスやモノが、時間通りに提供される」というジャスト・イン・タイムなモビィリティサービスの実現を目指し、トヨタ生産方式(TPS)の思想に基づいたe-Paletteの運行管理システムを開発。この運行管理システムは、MSPF(モビリティサービス・プラットフォーム)の新たな機能として、クルマとつながる「AMMS」と、ヒトとつながる「e-TAP」で構成されています。
●AMMS(Autonomous Mobility Management System)
「必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ」e-Paletteを配車。リアルタイムの移動ニーズに基づき運行計画をフレキシブルに変更し、自動で車両を投入・回送。追加投入によって生じる運行間隔のバラツキを防ぎ、等間隔ピッチでの運行を実現します。また、車両の異常を自動で検知した場合、自動で車庫へ回送し、代替車を即座に運行ルート上に投入。緊急時には遠隔での車両停止/復帰が可能になっています。
●e-TAP(e-Palette Task Assignment Platform)
- 車両やスタッフの「異常の見える化」により、車両を一人一台常時監視するのではなく、一人で複数台管理をすることができるため、限られたスタッフでの運行が可能。搭乗員、保守員など、運行に必要なスタッフに対し、自動的に作業指示を行い、遅れ/進みなどのタスク管理を実現することで、メンテナンスのリードタイムを短くでき、限られたスタッフでも高品質なサービスを提供。
- このように、人々の暮らしに寄り添った「新たなモビリティ」を提供したいとの想いのもと開発された「e-Palette」は、電動化、コネクティッド、自動運転技術を結集。
広々とした室内空間を備えており、人の移動手段としてだけでなく、物流や物販まで多目的にこなすモビリティサービス(MaaS)タイプのクルマとして幅広い用途への対応が可能となっています。
走行時のCO2排出が無く、大開口スライドドア、低床フロア、電動スロープなどの採用や、歩道や停留所に寄せて停車する自動運転制御により、車椅子利用者や高齢者のスムースな乗降や移動が可能。
トヨタでは人々の暮らしを支える新たなモビリティサービスの創出に貢献すべく、将来は様々なサービスに対応する新たなモビリティとなることを目指しているそう。
東京オリンピック・パラリンピックでは、トヨタ初のAutono-MaaS専用EVとしてe-Paletteを十数台提供。選手村内を巡回するバスとして選手や大会関係者の移動をサポートする予定になっています。
山本プレジデントによると、今回の運行管理システムにより進化したe-Paletteは、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などを導入・検証するなど、常に成長し続ける実証都市「Woven City」で運行することにより、人々が生活を送るリアルな環境のもとで鍛え、2020年代前半の複数のエリア・地域での商用化を目指すとしています。