■第4戦は藤野選手が単走優勝
新型コロナウイルスの影響でスケジュールが変わり、2日連続決勝開催のデュアルファイナルズとなったD1GP第4戦・第5戦オートポリス。
金曜日は公式練習日ですが、その最初の走行時にTeam TOYO TIRES DRIFTの川畑選手のマシンはエンジンブローに見舞われます。
トラブル自体はアンラッキーですが、このタイミングで起こってくれたのはラッキーでした。エンジンを載せ換えれば土曜日の本番には間に合うからです。けっきょく金曜日には最初の数周しかできなかったものの、エンジンはバッチリ載せ換えることができました。
そして土曜日。朝のチェック走行のわずかな周回だけで感触をつかみ、川畑選手は第4戦の単走決勝に臨むと、高い車速と鋭い振りで98.79点をマーク。その時点でトップに立ちます。その後得点は2人に抜かれましたが、3位で単走決勝を通過しました。
いっぽう、川畑選手を抜いたうちのひとりが川畑選手のチームメイトである藤野選手。藤野選手は大会の少し前に左手首をケガしていて、左手での操作が非常につらい状況でしたが、車速、角度、振りなど非常に高い次元でバランスさせた走りで98.97点を獲得。この日の単走優勝となりました。
そして追走トーナメント。ベスト16で川畑選手はミスをしながらも植尾選手に辛勝すると、ベスト8では開幕戦の決勝を戦った日比野選手と対戦。後追いからは攻めた走りを見せましたが接触もあって接近ポイントを取りきれず、ここで敗退となり、6位に終わりました。
いっぽうの藤野選手は、追走で勝ち上がるたびに走りをブラッシュアップさせ、先行時には100点を連発。決勝は小橋選手に敗れたものの2位に入り、この時点でシリーズ2位に浮上しました。
■第5戦は川畑選手が過酷なウエット路面で3位入賞
翌日の日曜日は第5戦が行われました。川畑選手は前日の走行から、より自由度を上げるべく足まわりを多少仕様変更して臨みましたが、思ったようにはいかず、けっきょく前日のセットに戻していく結果となりました。
そして単走決勝。いまひとつ走りはまとまらず、難なく追走進出は決めたものの順位は10位でした。
しかしこの日も藤野選手はやってくれました。前日の追走から100点がとれることはわかっていましたが、この日の単走本番でも2本めにきっちり決めて100.08点。2戦連続での単走優勝を果たしました。
ところが追走トーナメントの前に雨が降り出しました。単走1位の藤野選手は、最初の対戦の1本めの先行走者です。たった1本のウォームアップ走行で、予測不可能なグリップの路面に飛び込んだ藤野選手は振り出したあとにドリフトが戻り、振り返した先でも飛び出しそうになってアクセルを踏めず、それが響いてベスト16で敗れてしまいました。
いっぽう開幕戦では雨の中で優勝した川畑選手はこのラウンドも「なるべく集中力を切らさないように、後はスポッターとの連携で、路面状況を確認しながら走る感じでしたね」。
ベスト16でルーキーの蕎麦切選手を倒すとベスト8ではランキング首位の小橋選手と対戦。ここで勝たないとシリーズも小橋選手に逃げられてしまうことになりますが、小橋選手のミスもあって勝利し、ベスト4に勝ち上がりました。
準決勝では末永(直)選手と対戦。川畑選手は、先行時に非常に滑るアウト側のラインを果敢に攻めて見事な走りを見せましたが、末永(直)選手は、あえてそこについてこないでイン側のラインを走るという変則的な走りでコースアウトを避け、減点を最小限に抑える作戦に出てきました。
2本めも小さめのラインで走る末永(直)選手に川畑選手は後追いから合わせきれず姿勢を乱してしまい、ここで敗退。3位に終わりました。
このラウンドの結果、シリーズ順位は、川畑選手がトップの小橋選手と11pts差の2位に浮上。藤野選手も同ポイントでの3位に入りました。川畑選手は「もちろんチャンピオンを目指してやっているので、獲りに行くだけです!」と残り3戦で逆転を狙います。
次のD1GP第6戦は、11月14、15日エビスサーキット西コース。D1GPは初めての開催となるコースです。
(まめ蔵)