ハマーがEVで「i’ll be back!!」。最上級モデルは3モーター式で1000PS/15591Nmを誇るモンスターSUVに

■3モーター式、2モーター式(高性能版と廉価版)を設定

GMC ハマーEV
GMC ハマーEVのエクステリア

2010年に販売を終えていたハマーは、H1、H2、H3があり、日本でも芸能人が乗るなど、一部マニアから支持されてきた軍用由来でもある大型SUVです。

あのハマーがEVとして帰ってきます。アーノルド・シュワルツェネッガーもオーナーだったことから「i’ll be back」ということになるのでしょうか。

EVとなって復活する「GMC」ブランドのハマーEV。その「エディション1」には、まったく新しいUltium(アルティウム)バッテリー技術を搭載し、GMの第3世代のEVとして発表されました。なお、同バッテリー技術は、GM(GMC)のみならず、GMとホンダによる共同開発車で、「ホンダ」ブランド向けの新型EVの2車種にも使われるとアナウンス済みです。

なお、このEVである2モデルは、GMの北米の工場で生産され、2024年モデルイヤーから米国およびカナダで販売開始される予定です。

ハマー
ハマーファミリー

さて、本題に戻ると、GMCから発表された「2022年 ハマーEVエディション1」は、ゼロエミッションで新たな道を切り開くために開発された初のスーパートラックと位置づけられています。このEVトラックは、GMCのラインナップに加えられた初の完全電気自動車であり、次世代のEV推進技術によって駆動します。

ハマーEVは、ゼネラルモーターズの全く新しいアルティウムバッテリーと、同社独自のEVドライブユニットであるアルティウムドライブからエネルギーを放ち、GMが推定したクラス最高の1,000PSと11,500lb-ft(約15,591Nm)もの最大トルクが、2つのアルティウムドライブユニット内の3モーターから発揮するそう(推定値)。駆動方式は、e4WDとしています。なお、3モーター式のほかに、2モーター式(高性能版と廉価版)も用意されます。

GMC ハマーEV
エンジンはもちろんない、フロントフード内も収納に使えるのだろうか?

過酷な障害物や地形に挑戦するために開発された新機能が搭載され、究極のオフロードEVスーパートラックとして設計されているそう。「CrabWalk1」と呼ばれる4WSを備えることで、低速時に後輪と前輪が同じ角度で操舵し、車両の斜め移動を可能にすることで、難所での操縦性を向上。

さらに「Extract Mode2」機能を備えたアダプティブエアサスペンションは、サスペンションの高さを約6インチ(149mm)上げることが可能で、ハマーEVが岩石の除去や水をせき止めたりするような、過酷なオフロード状況での走破をサポート。

足元には、35インチのODグッドイヤー・ラングラー・テリトリーMTタイヤを標準装着し、高いオフロード性能と操縦安定性を最適化するため、並外れた強度と悪路走破性を備えているそう。

GMC ハマーEV
4WS、アダプティブエアサスペンション、35インチのODグッドイヤー・ラングラー・テリトリーMTタイヤなどにより高い悪路走破性を備えるという

気になるのは、EVでの悪路走行ですが、バッテリーパックの周囲などに頑丈なスチールプレートで構成されたアンダーボディアーマーが配置され、過酷なオフロード環境での保護をサポート。

また、最新世代にふさわしい最新機能が用意されています。フロントとリヤに新たにアンダーボディカメラが搭載された「UltraVision4」は、「バーチャルスポッター」のライブビューで障害物をナビゲートしたり、トレイル上やトレイル外でホイールを配置したりするのに使えるそう。

このアンダーボディカメラは、損傷から保護するためにパッケージ化されていて、破片を除去するための洗浄機能を備えています。ハマーEVでは、クラス最高のカメラビュー数が用意され、車両から最大18個のカメラビューを見ることが可能で、周囲への意識を高めることができます。

GMC ハマーEV
直線基調のハマーEVのインパネ

さらに、インフォテインメント画面やドライバーインフォメーション画面に、車両機能や地形状況を表示するオフロードウィジェットを搭載。

たとえば、トルク出力やディファレンシャルロッカーの係合、タイヤ空気圧、ピッチとロール角(最大値を含む)、ドリフトゲージ(最大値を含む)、フリクションサークル、トルクベクタリングなどが表示されます。なお、インパネには、13.4インチのインフォテイメントスクリーンと12.3インチのドライバーインフォメーションセンターディスプレイを配置。

GMC ハマーEV
テールランプからは伝統と新しさを感じさせる

充電環境は、自動車業界をリードする急速充電機能と、GMの新しいアルティウムバッテリーと先進技術が一体となって、最大の能力と最適な航続距離が提供されます。「エディション1」では、最大350kWの800Vの急速充電に対応し、充電中にバッテリーを並列モードから直列モードに機械的に切り替えることで、ハマーEVは最速の350kWのDC急速充電器と互換性があり、10分間の充電で約100マイル(約161km)の航続距離を確保するとしています。

また、フル充電で350マイル(約約563km)以上の航続距離が可能だそう。0-60マイル(約0-96km/h)加速性能が約3秒など、EV推進システムの加速能力をフルに発揮します。

GMC ハマーEV
ハマーEVの荷台

ほかにも、最新バージョンの「スーパークルーズ8」により20万マイル(約32万1868km)以上の道路でハンズフリー運転を提供するドライバー支援機能、新しい自動車線変更機能も採用されています。

また、オンロード走行とオフロード走行の両方に対応した連続減衰力調整機能「アダプティブ・ライド・コントロール」が搭載されるほか、アルティウムバッテリーの構造的な剛性により、オープンエアでの走行を可能にし、標準装備のインフィニティルーフとフロントの収納スペースに収納可能な着脱可能な透明スカイパネルが装備されています。

GMC ハマーEV
ハマーEVのキャビン

気になる価格は、「ハマーEVエディション1」が11万2595ドル(約1185万円)で、2021年秋の発売予定としています。

3モーターを搭載する「ハマーEV 3X」は9万9995ドル(約1052万円)。2023年春登場予定の2モーター式「ハマーEV 2X」は、8万9995ドル(約947万円)。2モーター式で、2024年春に登場予定の「ハマーEV2」は、7万9995ドル(約841万円)となっています。

なお、「GMC」ブランドの日本への正規輸入はなく、もちろん日本への導入の有無などはアナウンスされていません。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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