■モノコックボディのSUVが全盛期でもラダーフレームSUVの大きな魅力
話題の新型トヨタハリアーをはじめ、モノコックボディを採用する都市型SUVが人気を集めています。
同じトヨタならRAV4などの例からもわかるとおり、最近では電子制御式の4WDやエアサスペンションなど、技術面の進化などにより、モノコックボディでも高い悪路走破性を備えるモデルが多く登場しています。
また、ランドローバーを代表する新型ディフェンダーはモノコックボディを採用し、従来のラダーフレーム構造と比較して3倍のねじり剛性や、900mmという最大渡河水深を確保するなど、「悪路走破性の高さ=ラダーフレーム」という従来の常識は変わりつつあるのかもしれません。
それでもラダーフレームは、繰り返し悪路を走行するような過酷なシーンにおいて、ボディは高い耐久性を誇り、修理のしやすさなど、費用面も含めて省メンテナンスの高さも特徴。
そして何よりもタフなエクステリアや走りのイメージを背景にした「物語」は、実際にオフロード専用コースに足を踏み入れなくてもオーナーの所有欲を刺激し、満たすものであるはず。
輸入車ではメルセデス・ベンツGクラスが代表例で、パジェロの生産終了がアナウンスされている今、日本を代表するのは「ランクル」でキマリでしょう。
トヨタはランドクルーザープラドを一部改良するとともに、特別仕様車の 「TX“Lパッケージ・Black Edition”」を用意し、2020年8月3日から発売しました。
今回受けた一部改良では2.8Lディーゼルターボの改良をはじめ、「Toyota Safety Sense」の機能向上が盛り込まれています。
トルクフルな走りが魅力のディーゼルターボをサイズアップすることで、最高出力が従来の177psから204psに向上され、さらに力強い走りを実現したとしています。同ディーゼルターボは、低・中速の街中では比較的トルク感が得られましたが、高速域などでパンチ力も抱かせたので、パワーアップは朗報そのものです。
■一部改良と同時に、特別仕様車の「TX“Lパッケージ・Black Edition”」を設定
先述したように、先進安全装備の「Toyota Safety Sense」の機能が向上しています。プリクラッシュセーフティの検知範囲が拡大され、新たに夜間の歩行者と昼間の自転車にも対応。ほかにも、「ヨーアシスト機能付(※)のレーンディパーチャーアラートやロードサインアシスト(RSA)」、先行車発進告知機能が全車に標準装備されています。
(※編集部注・「ヨー」は「ヨーイング」または「ヨーイングモーメント」のことで、車両を鉛直方向に刺す仮想の軸を中心に回転させる力のこと)
さらに、「TZ-G」「TX“Lパッケージ”」には、駐車場などで後退するシーンなどで、左右後方から接近する車両を検知し、ドアミラー内のインジケーターの点滅と警告音により、注意喚起する「リヤクロストラフィックアラートをオプション設定(ブラインドスポットモニターとセット)。
機能面では「TZ-G」にパドルシフトが採用され、ステアリングから手を離すことなく、指先だけの操作で素早いシフトチェンジができるようになります。
加えて、スマホ連携に対応する9インチのディスプレイオーディオ(DA)がオプションで用意され、車載通信機DCM(Data Communication Module)と合わせることで利便性が向上しています。
また、同日設定された特別仕様車の「TX“Lパッケージ・Black Edition”」は、グレード名からも分かるように「TX」がベース。
“Lパッケージ”相当の装備に加えて、内・外装はブラックを基調とした精悍な仕立てになっています。インテリアでは、オーナメントパネルにシルバー塗装が施され、センタークラスターパネルなどはブラックにペイントされています。
一方のエクステリアでは、フロントグリルやヘッドランプまわり、バックドアガーニッシュに漆黒メッキ加飾が用意され、アウターミラー、ルーフレールなどはブラックにペイントされています。
専用装備になるブラック塗装の18インチアルミホイール、ブラック塗装の大型フォグランプベゼルを装着することで、引き締まった外観になっています。
トヨタランドクルーザープラドの価格帯は、カタログモデルが362万1000円~553万円。特別仕様車の「TX“Lパッケージ・Black Edition”」は、426万1000円〜508万9000円。
カタログモデル、特別仕様車共に今回改良を受けた2.8Lディーゼルターボ、2.7ガソリンターボ共に設定され、2列5人乗り、3列7人乗りが用意されています。
(塚田勝弘)