■1.2Lターボ、1.8Lハイブリッドにそれぞれ特別仕様車も同時設定
新型ハリアーの登場でトヨタのSUVラインナップが活気づき、ディーラーへの新顧客も多く呼び寄せていると思われます。ディーラーに顧客が来ることで、狙い以外のクルマにも目がいくことがあり、来客数の増加はメーカー全体の販売台数増にも寄与します。
トヨタのSUVで2019年から2020年前半でヒットしたのがコンパクトSUVのライズ。2020年1月から6月まで最も売れた登録車もライズで、トヨタのSUVでは、RAV4、C-HRが続いています。
2020年8月4日、トヨタはそのC-HRを一部改良すると同時に、特別仕様車の「G“Mode-Nero Safety Plus”」と「G-T“Mode-Nero Safety Plus”」を用意し、同日発売しました。
一部改良は、先進安全装備の「Toyota Safety Sense」など安全装備のアップデートが中心。検知対象に歩行者(夜間)や自転車(昼間)、そして交差点右折時に直進してくる対向車、右左折時に対向方向から横断してくる歩行者も加えられた「プリクラッシュセーフティ」が搭載されています。
加えて、低速時の事故予防をサポートする低速時加速抑制機能(前方に対象物がある状態で、停車または徐行状態からアクセルペダルが必要以上に強く踏み込まれた際、エンジン出力を抑制するか弱いブレーキをかけることで加速を抑制する機能。6MT車は除く)を用意。
トヨタで国内初採用となる「緊急時操舵支援機能」も採用されています。同機能は、自車線内の歩行者と衝突する可能性が高く、自車線内に回避するための十分なスペースがあるとシステムが判断した際に、ドライバーの回避操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストし、車両安定性確保と車線逸脱抑制に寄与する先進安全装備になります。
■快適温熱シート、電動ランバーサポートなど快適装備も充実化
レーダークルーズコントロール使用時に、同一車線内の中央を走行できるよう操舵を支援する「レーントレーシングアシスト」、カメラで認識した道路標識をディスプレイに表示することで道路標識の見落としを減らす「ロードサインアシスト」「バックガイドモニター」を全車に標準装備。
快適装備の充実化も図られています。快適温熱シート(運転席・助手席)、電動ランバーサポート、「ナノイー」などが「G」「GT」および「S“GR SPORT”」「S-T“GR SPORT”」に標準化されています。
特別仕様車の「G“Mode-Nero Safety Plus”」「G-T“Mode-Nero Safety Plus”」は、それぞれ「G」「G-T」がベース。
エクステリアには、フロントスポイラー(ロア部)やアルミホイールなどにブラック塗装が配されています。また、インテリアには、シートやインストルメントパネル、ドアトリムオーナメントなどがブラック基調になるなど、内外装共にクールなムードが醸し出されています。
一部改良で充実した安全装備では、車両を上から見下ろしたような車両全周囲の映像をディスプレイに表示し、後方視界や目視しにくい周囲の安全確認をサポートする「パノラミックビューモニター」が用意されています。
ほかにも、駐車場などでのアクセルとブレーキの踏み間違いやアクセルの踏み過ぎなどで起こる衝突被害の軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナーの「パーキングサポートブレーキ(静止物)」や、駐車場での後退時に左右後方から接近する車両を検知して衝突の可能性があると判断すると、ブレーキを制御するリヤクロストラフィックオートブレーキ「パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)」なども特別装備されています。
特別仕様車のボディカラーは、特別設定色の「ダークブルーマイカ」を含めたモノトーンが5色、2トーンが3色設定されています。また、特別仕様車らしく買い得感も高く、上記の装備を用意しながらベース車と同価格になっているのも見逃せません。
一部改良を受けたC-HRの価格帯は、238万2000円~314万5000円。1.2L直噴ガソリンターボを載せる特別仕様車の「 G-T“Mode-Nero Safety Plus”」は、FFが271万5000円。4WDが291万3000円です。1.8Lハイブリッドの「G “Mode-Nero Safety Plus”」は、FFのみで価格は304万5000円。
C-HRの登場以来、SUVだけでもRAV4、ライズ、ハリアーなどラインナップの拡充、新型へのスイッチが図られ、台数的には相対的に下がっているものの、トヨタ初も含む先進安全装備の強化でC-HRの台数もまた上向くか気になるところです。
(塚田勝弘)