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■ライズは200万円、T-CROSSは300万円という価格なりの満足感がある
まずはライズから。インテリアは予想以上にオシャレにしたてられていて安っぽさはないね。荷室も5人乗車時で369L。これだけのラゲッジ容量があってその上5人乗れるSUVが200万円で購入できるのならば、文句なしだね。
シートは若干硬めだけどイヤな硬さではないね。これだけの要素を5ナンバーサイズに詰め込んで、しかもボディの見切りも良い。これは運転に慣れてない人にとって安心感を感じられるポイント。
注目の1Lターボエンジンだけど、ライズはこの1LターボエンジンとCVTが組み合わされている。昔のCVTはまずエンジン音だけが高まって、それに加速がついていかなかったけど、ライズの加速性能はトルクも十分ある。オレも聞いていなかったらこの加速フィールで1Lターボとはきっと思わない。それくらいのパワーフィールを感じられる。1Lといって甘く見てはいけない。
たしかにスポーツカーと比べれば、アクセルペダルを踏んでから、加速するのに多少のタイムラグはあるよ。
でもライズはファミリー向けSUVであることを考えれば、どんな人でも運転しやすく仕上げているように感じる。サスペンションも固すぎず、柔らかすぎず、しっとりとした味付けとなっている。
これで諸費用込みの230万円だったら買いでしょう! と胸を張って言えるね。これは売れるはずだよ。車重が1トンを切っていることも大きい。開発陣のガンバリが感じられるクルマだね。
一方のVW T-CROSS。やはり300万円のクルマに相応しい質の高さがインテリアにも徹底されている。
シートの座り心地も良い。腰と肩を全体で支えてくれる。フロントだけでなく、リアも同じように仕立てられていて、長距離ドライブでもラクラクこなせるね。そして3ナンバーサイズだから、運転席と助手席のカップルディスタンスも余裕があるから、ゆったりとした空間になっていて余裕を感じる。
ライズがCVTを採用しているのに対して、T-CROSSは7速DCTを搭載している。こういう部分にも贅沢さを感じる。まぁVWはDCTを推しているから組み合わせているのだろうけど、エンジン音が車内に侵入してこないから静か。回転数にあったギアを選択してくれるから、エンジン音の大きさと速度感がマッチしている。だから違和感がないよね。
運転していて、音と車速、そして目から入ってくる景色の流れがあってないと違和感を持ってしまう。そうなると運転していて楽しくないよね。その点1Lターボ+DCTのほうが自分のフィーリングに合っている。でもライズも違和感はないし、価格差100万円を考えるとライズの出来が良いということがわかるね。
ライズに乗って感心したのは、レバー式のサイドブレーキを採用していること。これを見たときにこの開発陣はクルマのことわかっているなと思った。電動パーキングブレーキの方が便利なのは確実。
でも雪道や、雨の中でのハイドロプレーニングで滑った時、FF車のようなアンダーステアのクルマは正面からぶつかってしまう。そうするとエンジンやラジエターを壊してしまうため、自走して帰ることができない。
でも滑った時にサイドを引けば、クルマの向きが変わってサイドから壁などにぶつけることができる。サイドならば、フェンダーを叩いて出せば、走って帰れる。雪道で事故ってエンジンやラジエターを潰して自走できなければそれこそ、生命の危機にまつわる話。
これは個人的だけどレバー式のサイドブレーキは万が一の最後の命綱だと思っている。だからレバー式のサイドブレーキを採用しているライズのポイントは高いね。
1Lターボエンジンを搭載したコンパクトサイズSUVとしてトヨタライズとVW T-CROSSを比較したけど、価格差が約130万円ある。お金に余裕があってより良いモノを手に入れたいというユーザーはT-CROSSを購入すればいいだろう。
しかし、予算250万円でクルマを買いたいという人にとってライズは魅力だ。何も妥協することなく、良品が手に入れることができるからだ。どちらも購入後の満足感は同じくらい高いと思う。それにしても1Lターボがここまでしっかりと走ることに正直驚かされたよ。加速フィールなどに全く不満がないからね。
(コメント 土屋圭市、まとめ・撮影 萩原文博)