■開発が進む新しい技術
2020年6月8日。ボッシュ(日本)はオンラインにて年次記者会見を開催しました。そのなかで、現在開発中や進行中の新技術についての説明も行われました。
今後のモータリゼーションのなかで大きな役割を果たすのが「自動化」です。
ボッシュの試算ではドイツ国内での交通事故の事例を見ると、側方レーダーによる衝突被害軽減ブレーキと発進防止機能によって防止、もしくは被害を大きく軽減できる可能性があることが判明したとのことで、今年から新世代の側方レーダーの生産を開始します。
ボッシュの2019年でのADAS部門の売上高は、2018年比で12%も増となる約20億ユーロに達していて、自動化分野においてマーケットリーダー的な存在となっているとのことです。
また、二輪車向けのレーダー(前方・後方)を用いた安全運転支援システム「アドバンスト ライダー アシスタンス システム(ARAS)」も、2020年の量産開始に向けて開発が進んでおり、2019年に東京都、神奈川県、栃木県の高速道路で開始した公道試験を、2020年には埼玉県まで拡大される予定です。
ボッシュは内燃機関からeモビリティ、燃料電池などさまざまパワートレインの開発を進めています。日系自動車メーカー向けにも48のVマイルドハイブリッドのコンポーネントの量産を開始していて、2020年春に欧州で販売が開始されたモデルに搭載されています。
また近年では、自動車部品などを手がけるベントラーと共同で電気自動車向けプラットフォーム「ローリングシャシー」を開発。電気自動車で自動車業界に新規参入しようとする企業などにへの提案を内外で行っています。
「ローリングシャシー」には、電動パワートレイン、電動ブレーキシステムや電動ステアリングなどが搭載されています。さらに、イタリアのカロッツェリアであるピニンファリーナとも提携。ピニンファリーナがボディワークを担当することで、より効率的な車両開発を可能にしています。
ネットワークに関しては、日本では2020年1月にコネクテッド モビリティ ソリューションズ事業部を設立。インターネット経由でクルマにソフトウェア・ファームウェアを配布・アップデートするシステムの提供を開始しています。
また、ミライト、カーリンク、シノックスといった企業と提携して、駐車可能なスペースを通信経由で通知するパーキングロットセンサー(PLS)の提案を開始しました。PLSは非常にコンパクトな装置で、特殊な接着剤で地面に装着するだけで設置が可能。駐車場管理者にかかる費用などの軽減が可能となっています。
また、自動緊急通報システムeCallに対応する後付けデバイス「テレマティクスeCallプラグ」を開発。「テレマティクスeCallプラグ」には、3軸の加速度センサー、マイクロコントローラー、センサーが検出したデータを計算するアルゴリズムが組み込まれており、衝突による衝撃を検知。
デバイスが事故の発生を検知すると、ドライバーのスマートフォンに緊急連絡先が表示され、タップするだけで即時にレッカーサービスへの緊急通報が可能となります。SBI損保が、2020年中に保険サービス向けにこのデバイスを正式採用することを決定しています。
(文/諸星陽一)
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