ヤリスの販売台数がN-BOXに迫る! コロナ禍の新車販売に大激震

■2020年4月の登録車新車販売はトヨタ・ヤリス、ホンダ・フィットがワンツーでしのぎを削る

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、自動車メーカー各社の生産は本調子とはいえない状況が続いています。工場の稼働率も下がっていますし、メーカーでも在宅勤務は増えているようです。販売店も営業時間を短くするなど対応しているところが大半です。

そんなわけで新車販売も盛り上がりを欠いた状態になっています。この時期に、わざわざ新車を購入しようというユーザーも少ないでしょう。不要不急の外出を自粛すべき時期に、ディーラー巡りをするというのも気が引けます。

まさにコロナ禍は自動車業界を直撃しています。

とはいえ、年度末となる2020年3月の販売戦線は一定の盛り上がりを見せました。なぜなら、2月にトヨタ・ヤリスとホンダ・フィットというコンパクトカーのガチンコライバルモデルが登場したからです。

結果的に、3月の販売トップ(登録車)はトヨタ・カローラとなりましたが、2位がフィット、3位がヤリスとニューフェイスがトップ3を占める結果となりました。

トヨタ・ヤリス
2020年2月に発売開始となったトヨタ・ヤリス。月販目標7,800台に対して4月は10,119台を販売した

さて、年度が明けた4月の登録車新車販売はどのようになったのでしょうか。

なんと、トップはヤリスが奪いました。その販売台数は10,119台。例年、3月に比べて4月の販売台数は落ち着く傾向にありますが、その中で1万台オーバーはヤリスが唯一です。

つづく2位につけたのがフィット。こちらは8,977台ですが、前年同月比でいうと132.5%としっかり新車効果を出しています。コロナ禍で厳しい状況ですが、魅力的かつ話題のニューモデルということで、いい勢いで売れているのです。

Fit e:HEV CROSSTAR(FF)
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Fit e:HEV NESS(FF)
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Fit e:HEV LUXE(FF)
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ちなみに、2020年4月の登録車新車販売3位はトヨタ・シエンタ(6,982台・前年比99.8%)、4位はカローラ(6,679台・前年比91.1%)、5位はホンダ・フリード(6,030台・前年比95.7%)となっています。

2020年1月~2月と登録車新車販売トップとなったトヨタ・ライズ(4月は7位)や、2019年度の販売トップだった日産ノート(4月は13位)などがトップ5から消えてしまったのです。

さらにいえば、かつて売れ筋モデルの象徴だったトヨタ・プリウスは前年比42.2%と半減以上で4月は9位。トヨタ・アクアもヤリスにユーザーが流れたのでしょう、4月は10位と沈んでしまいました。

コロナ禍というまさしく非常時ですので、ヤリスの販売トップが一過性のものなのか、今後のトレンドを示すものなのか判断しかねる部分もありますが、ヤリスとフィットのワンツーというランキングは、2020年のコンパクトカー販売が熱く盛り上がることを予感させます。

なにしろ、このところ軽自動車も含めた新車販売のランキングでいうとトップ3はすべて軽自動車みたいな状況が当たり前のようになっていましたが、4月の新車販売で1万台を超えたのは軽自動車ではホンダN-BOX(14,032台)のみ。軽自動車2位はダイハツ・タント(8,295台)でした。

つまり、登録車&軽自動車の新車販売ランキングでいっても1位N-BOX、2位ヤリス、3位フィットと大きく状況は変わっているのです。コンパクトカーの新基準といえる「ヤリス」と「フィット」。そのセールスから目が離せません。

(自動車コラムニスト・山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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