■自動車メーカーが開発した飛沫循環抑制車両とは?
全国に緊急事態宣言が発令された、新型コロナウィルス感染症。トヨタやホンダなどに限らず、世界中で各自動車メーカーが車両提供を含む医療支援を行っています。2020年4月7日に医療現場・医療用品の支援を行ったトヨタは、「軽症の感染者移送に対するサポートの検討」を行っています。
その内容は、東京都内を中心とした感染拡大地域において、軽症の感染者をほかの医療機関や待機施設、自宅などに移送する際の運転者の感染を抑えるために、JPN TAXI(ジャパンタクシー)などを中心に、車内での飛沫循環を抑制する方法について、検討を開始するというもの。
4月21日、トヨタは、千葉県に新型コロナウィルス感染者移送用車両を提供したと発表しました。同車両は千葉県からの協力要請に対し、JPN TAXIをベースに、トヨタ自動車東日本の東富士研究所において開発、架装されたものです。
トヨタ自動車、トヨタグループ各社は、「安全・安心を最優先に現場で戦っている方々、苦しんでいる方々の気持ちに寄り添いながら、私たちにできることを即断、即決、即実行していく」との方針に基づき、現在、社会的な最優先課題になっている感染拡大の抑制や医療現場の支援に向けて、様々な側面から対策を検討し、迅速に取り組んでいくとしています。
軽症の患者を療養施設などへ移送することによって病床を確保し、医療崩壊を防ぐための取り組みが各地で始まっていますが、軽症の患者を安全に運べる車両、ドライバーの感染防止が課題であるとの認識から、同社では医療現場のニーズを聞き、少しでも貢献できる車両を提供できないか、検討を進めていたそう。
今回された車両は、JPN TAXI(ジャパンタクシー)をベースに、運転席・助手席のある車両前方スペースと、後部座席以降の車両後方スペースの間に隔壁を設置。前方を陽圧、後方を陰圧とすることによって、後方の空気が前方に循環しないようにコントロールした「飛沫循環抑制車両」です。
すでに、トヨタは、東京都内の病院などにも同様の対策が施された車両5台を提供していて、軽症の患者様の移送に活用しているそうです。軽症者の病院からホテルなどの移送に自動車メーカー提供の車両が使われることで、医療現場の負担軽減が期待されます。
(塚田勝弘)