■TRI-ADの画像認識技術を使い、一般車両に搭載可能なカメラのデータを活用
2020年3月17日、トヨタの自動運転ソフトウェアの先行開発を行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)とダイナミックマップ基盤(DMP)は、2020年4月より新たに双方の技術を活用した実証実験を進めることで合意したと発表しました。
ダイナミックマップ基盤(DMP)は、高精度3次元地図データを提供する会社として2016年6月にスタートし、2017年6月には産業革新機構(現INCJ)からの出資を受け、事業会社に移行しています。出資企業は、INCJを筆頭に、三菱電機やジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ、ゼンリンなどのほか、日本の大手自動車メーカーが名を連ねています。
日産・スカイラインに採用されている高精度地図もダイナミックマップ基盤の「高精度3次元地図データ(ダイナミックマップ協調領域」がゼンリンを通じて、採用された例です。
今回、TRI-ADのオープンなソフトウェアプラットフォームである「Automated Mapping Platform(AMP:自動地図生成プラットフォーム)」を使って、車両センサーで収集した画像などのデータから道路上の変化した箇所を検出することで、DMPのHDマップの効率的な更新の可能性について実証するという内容です。
TRI-ADでは、先進運転支援システムや自動運転システムのグローバルな普及に伴い、高精度及び高品質の自動運転用地図に対する需要が高まっていると分析。地図生成には、実際の道路上のペイントや構造物の変化を正確かつ迅速に把握し、効率的に地図を更新することが重要になります。現在は、主に道路工事情報などに基づいた計測車両での現地調査によって道路の変化を把握していて、調査費用や迅速さが課題になっています。
今回の実証実験では、TRI-ADの画像認識技術を活用して、一般車両に搭載可能かつ普及価格帯のカメラで入手したデータから、道路上の変化した箇所を自動で検出。この手法により、計測車両の走行距離や台数、人件費を大幅に削減しつつ、迅速にHDマップを更新することが可能。
今回のTRI-ADとDMPの連携により、自動車メーカーを含むユーザーが期待する高い品質水準を保ちながら、費用を抑えた効率的なHDマップの更新が期待できます。
TRI-ADとDMPの両社は、日本国内の自動車専用道路の画像などのデータを用いて、TRI-ADのAMPの変化点抽出技術を活用し、DMPのHDマップ更新が効率的に行えることを確認。その後、2021年度からの運用開始を目指すとしています。また、さらなる更新頻度の短縮に向けた方策の検討、北米でHDマップを提供しているUshr, Inc.(DMPのグループ企業)によるデータ更新へのAMP活用についても検討していくとしています。
(塚田勝弘)