新型コロナの影響が飲酒運転取り締まりにも!使用を指示されたアルコール感知器の値段は税込1万8375円

■新型コロナウイルス感染防止のため運転手の呼気を直接嗅がないよう指示

●そもそも警察官が運転席へ顔を突っ込みたがる理由って?

飲酒検問
(エリア87 / PIXTA)

 新型コロナウイルスが飲酒運転の取り締まりへも影響を及ぼした。以下は3月1日付けのTBS NEWSの一部だ。

新型コロナ、飲酒取り締まりで感知器
 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、警察庁は飲酒運転の取り締まりをする際、簡易型のアルコール感知器を使うよう全国の警察に指示しました。
 飲酒運転の取り締まりでは、警察官はドライバーの呼気からアルコール濃度を測る「飲酒検知器」を使いますが、その前にドライバーの呼気を直接嗅ぐことがあります。警察庁は、その場合、新型コロナウイルスへの感染を防ぐため、警察官に呼気を直接嗅がずに簡易型のアルコール感知器を使うよう指示しました。
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3917928.htm?1583034698069

 飲酒検問の警察官は、運転席のドライバーの口元に「感知器」を差し出す。そのとき同時にかならず自分の顔を寄せる。車内に顔を入れようとするかのように。なぜ?

 1つは、ドライバーが飲酒運転だったとき「酒酔い・酒気帯び鑑識カード」の「酒臭」の欄に記載できる酒臭の程度を知るためだ。
 もう1つ、車内の様子をチェックすることがある。同乗者は何人いるか、どんな様子か。もしかしたら後部座席に、ごつい男2人に両腕をつかまれ、顔から血を流してぐったりした女性がいるかもしれない。チェックは大事だ。

 そして警察官はにっこり言う。
「ここにハアーと息をかけてください」
 こう怒る女性ドライバーもいる。
「あたしの甘い吐息をなんで見も知らぬ男に? セクハラだわ!」

●飲酒検問で使用されるアルコール感知器は税込み1万8375円

 ところで、上掲ニュースにぼんやり映っている白い小さな感知器、たぶんそれの契約書の写しが手元にあるはず。仕事場を探してみた。膨大な文書の中に、ありました!

 2006年9月に香川県警から開示を受けた文書だった。私は東京都在住だ。なぜ香川県警なのか。当時、マニア的に気になる事件が香川であったのかもしれない。もう忘れた。

 香川県警の契約は2件。1件は2006年2月27日の契約で、納入期限は2006年3月24日。物品名は「アルコール感知器」で規格は「PAC-400S」。数量は「50本」で91万8750円(税込み)。
 もう1件は同年8月10日の契約で、納入期限は同年9月29日。同じものを100本、183万7500円。どっちも1本当たり1万8375円だ。

契約書
当時の税率は5%。税抜き価格は1本当たり1万7500円だ。

 「取扱説明書」にこうある。
「北側式呼気中アルコール感知器PAC-400Sは、呼気中のアルコールをチェックする感知器です」
 契約相手(乙)は光明理化学工業。「感知器」でチェックしてドライバーが酒気を帯びていると分かれば警察官は、そのアルコール量を調べるため「検査器」を使う。私があちこちに開示請求してきたところによれば、「検査器」は今も昔も光明理化学の北川式だ。警察庁から何人か天下っているのかなぁ、とは私の想像である。

取扱説明書
アルコールを「チェック」するだけ。飲酒運転は呼気1リットル中のアルコールが0.15mg以上だと違反になるが、そういう数値を計るものではない。0.02mgから反応するそうだ。
各部の名称
呼気中に0.02mg以上のアルコールを感知すると「警報ランプ(赤)」が点灯する。その場合、いったん電源を切り、30秒以上待ってから電源を入れる。その後、新型が出ているかもしれない。調べてみよう。

 そんなことより大事なことを言っておきたい。
 警察の飲酒検問は24時間、365日はできない。捕まらないまま飲酒運転を続けるケース、大事故を起こして飲酒が発覚するケースはたくさんあるはず。
 夜間、また明け方は、飲酒運転の者が居眠りして、青信号の横断歩道へ突っ込んでくるかもしれない。信号待ちの車列へ突っ込むかもしれない。マジでご注意を!

(今井亮一)

今井亮一【いまい・りょういち】
交通違反・取り締まりを取材、研究し続けて約40年、行政文書の開示請求に熱中して約20年。裁判傍聴マニアになって17年目。『なんでこれが交通違反なの!?』(草思社)など著書多数。雑誌やテレビ等々での肩書きは「交通ジャーナリスト」。2020年の目標は東京航空計器の新型オービス(レーザー式)の裁判を傍聴すること!

今n井亮一
今井亮一さん