■ビッグデータに基づいて異常なアクセル操作を特定し、加速を抑制する
2020年2月3日、トヨタはコネクティッドカーから収集したビッグデータに基づき、ペダルの踏み間違いによる異常なアクセル操作を特定し加速抑制を行う「急アクセル時加速抑制機能」を開発したと発表しました。
トヨタでは、同機能を今年夏に発売される新型車から順次導入するとともに、同機能が入った既販売車種向けの後付け踏み間違い時加速抑制システムを同時期に商品化する予定としています。
今回、開発された機能は障害物のない状況でも異常なアクセル操作時に加速を抑制することが狙いだそう。技術開発では、まず実際の踏み間違い事故発生時に、アクセルペダルが全開で踏まれた状況を分析。そして、その踏まれ方の特徴をコネクティッドカーから得られたビッグデータと照合されます。
右折時や一時停止後など、ドライバーが実際に急加速を必要とする状況を除くことにより、異常なアクセル操作状況を特定して割り出し、障害物がなくても加速を抑制する設定とされています。
同社では、現状のICS(インテリジェントクリアランスソナー)に、「急アクセル時加速抑制機能」を組み合わせた際に、駐車場などでのペダル踏み間違い事故をさらに一層減らすことが可能としています。とくに、踏み間違いによる事故を心配するユーザーに有効と予測しているそう。なお、この機能の考え方については、他の自動車メーカーも含めて幅広く共有していく計画としています。
■「緊急時操舵支援PCS」など3機能を追加
さらに「死傷事故への適応性拡大」の観点から、トヨタは先進安全装備のさらなる機能のステップアップが図られます。具体的には、2017年にレクサスLSに導入された先進安全技術パッケージ「Lexus Safety System +A」で採用された機能の中のいくつかが追加された「Toyota Safety Sense」に今年中に導入される予定。主な機能は、下記の3つ。
①「緊急時操舵支援PCS」は、不意に車道にはみ出した歩行者に対して、車線を逸脱しない操舵量を計算し、操舵アシストを行うことでドライバーの衝突回避を支援する機能です。
②「ドライバー異常時車両停車支援システム」は、文字どおり、ドライバーの体調急変などによりステアリング、アクセル、ブレーキ操作が検知されない状態をクルマが検知した場合、ドライバーへの警告とともに、周辺車両にホーンの吹鳴やハザードランプの点灯で通知しながら徐々に車両を減速させ停車させるシステム。また、停車後に「ヘルプネット」に自動接続し、ドライバーの早期救命救急をサポートします。
③「スピードマネージメント機能付きレーダークルーズコントロール&LTA」は、LTA(レーントレーシングアシスト)の作動時、カメラによる白線認識にAI技術を活用し、カーブの大きさに合わせてあらかじめ減速し、カーブ走行時の横Gを常に一定にし、より安定し快適な走行を実現するとともに、より半径の小さなカーブやトンネル内でも途切れの少ない運転支援を可能にする機能。
ほかにも、新型ヤリスに設定した高度駐車支援システム「Advanced Park」もあります。車両の360°全周監視により駐車スペースを検知し、システムがステアリング、アクセル、ブレーキを制御することで、精度よくスムーズで安心感の高い駐車を実現する機能。
分かりやすいインターフェイスと簡単な操作方法により、駐車が苦手な人にはもちろん、苦手意識を持っていない人にも助けになる高い実用性が魅力。また、駐車機能作動中に必要なのはシフト操作のみであり、万が一アクセルペダルに触れた際には車両を停止させるなど、安心な設定になっています。
高齢ドライバーなどによる重大事故が多く報道される昨今、対応車種は追って発表されるでしょうが、既販売車種向けの商品化も高く評価されそうです。
(塚田勝弘)