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■世界から集まったドリフターが世界一を決めるFIA IDC
11月29日から12月1日の3日間、筑波サーキットで開催されたFIA Intercontinental Drifting Cup 2019(FIA IDC2019)。
F1やWRC、WECなども公認するFIA 国際自動車連盟の公認でドリフトの世界一を決定するFIA IDC 2019は、これまでのお台場特設会場から筑波サーキットに場所を移しての開催となり、スピードレンジがかなり上がったハイスピードドリフトで技を競い合う初めての戦いとなりました。
30日に行われた単走では香港のチャールズ選手こと伍 家麒が優勝。フロントマスクをアメ車風にカスタマイズしたS14シルビアがカッコいい!
チャールズ選手は世界ツーリングカー選手権(WTCC)で世界を転戦した経験もあるレーシングドライバーで、30日の単走では100点満点中93点という高得点で堂々の単走優勝となりました。
単走で15位までが決勝の追走(Tandem)に進むことが出来ます。しかし追走枠は16台。最後の1台は16位以降の選手が敗者復活戦(Consolation)を勝ち抜いて決勝へと駒を進めることが出来ます。
その敗者復活戦を勝ち抜いたのはD1GPでも活躍する小橋正典選手。
南アフリカやニュージーランド、クウェートなど世界中のドリフト選手が集まるFIA IDC 2019。そんな選手の活躍も見どころのひとつ。
2018年のFOMULA DRIFT JAPANでチャンピオンとなったマッド・マイク選手はアグレッシブ過ぎる走りと表情が特徴です。
日本発祥の自動車競技であるドリフト。海外選手の使うドリフトマシンも圧倒的に日本車が多いのですが、BEST8に進出したマシンの中にはBMWの姿もありました。
東京モーターショー2019でニューマシンをアンベールした川畑真人選手のGRスープラ。
このFIA IDCで王座奪還を目指してニューエンジンなどを搭載して作り上げたマシンでしたが、上手くセッティングを出せなかったようで決勝はBEST8進出ならず。迫力のある走りは来シーズンまでお預けとなってしまいました。
■BEST4のうち3台がTOYO TIRES!
世界中から参戦するFIA IDC 2019。その参戦マシンは様々なタイヤメーカーのタイヤが履かれています。
タイヤメーカーだけで見れば決勝進出の16台から戦いが進むにつれ徐々に絞られていき、BEST4の準決勝になると4台中3台がTOYO TIRESということになっていきます。準決勝の藤野選手とアンドリュー選手のバトルはまさにタイヤメーカーバトルとも言える戦いで、これをTeam TOYO TIRES DRIFTの藤野選手が制して決勝へと進みます。
そしてTOYO TIRESバトルとなった松井有紀夫選手とゴーチャ選手ことゲオルギィ チフチャン選手の準決勝。
激しいバトルの末にゴーチャ選手が決勝へ進出します。
ロシアから参戦のゴーチャ選手。その地元ロシアからは第一ヘアピンのスタンドの大半を占めるほど大人数の応援団が来日!ゴーチャ選手の走行の際、第一ヘアピンにはゴーチャコールが巻き起こっていました。
■マシンも疲弊するギリギリの戦い!
決勝に進出した藤野選手とゴーチャ選手。その頂上決戦が繰り広げられようとするその瞬間、戦いは意外な展開で勝負がついてしまいました。
決勝戦1本目のスタートで藤野選手のマシンがスタートラインにつくことが出来ない!マシントラブルで無念のリタイアとなってしまったのです。この時点でゴーチャ選手はコースを走りきれば優勝ということとなります。
そして2本目の勝ち名乗り走行で2連覇が決定したゴーチャ選手。しかしそのゴーチャ選手のマシンもコースのフィニッシュラインを通過した直後に自走不能となってしまうトラブルに見舞われます。
決勝進出した2台のマシンは、いつトラブルが出てもおかしくないギリギリの状態だったのです。
しかしギリギリながらも決勝の走行を走りきったゴーチャ選手は2018年に続きFIA IDCを2連覇という快挙となりました。またTOYO TIRESはFIA IDCが初開催された2017年から3連覇という、世界No.1ドリフトタイヤとしての地位を守り続けました。
優勝したゴーチャ選手は「連続走行でクラッチのオーバーヒートがおさまる時間的余裕が全く無かったために、走りきった最後の最後でマシンが止まってしまいました。決勝戦直前にはアクセルワイヤーのトラブルも出ていたので、この優勝は本当にラッキーのおかげだったといえます」と語っていました。
この優勝をゴーチャ選手と共に喜んでいたロシア応援団。FIA IDCが世界に認められた大会であるという証は、実はこういった応援団の方々の存在なのではないでしょうか。来年以降もますます発展していくであろうFIA IDCに大きな期待を寄せています。
(写真・文:松永和浩)