■259万円~という価格設定も魅力的
シトロエン C3 エアクロス SUVのパワートレーンは1.2Lの直列3気筒ターボで、110PS/5500rpm・205Nm/1750rpmというエンジンスペック。なお、トランスミッションは6ATの「EAT6」が組み合わされています。
プラットフォームは、C3と同じようにお馴染みの「PF1」と長年使われてきたものですが、C3でも走り古さを感じさせないように、シトロエン C3 エアクロス SUVも足の仕上がりは秀逸そのもの。
サスペンションはフロントがマクファーソン・ストラット、リヤがトーションビームで、Bセグメントではオーソドックスといえる形式。それでもC3と同様に低速域では若干の振動が伝わってくるものの、このクラスのSUVでは間違いなく良好な乗り心地を実現しています。
高速域ではフラット感が増し、コーナーではそれなりにロールを許しながらも、ボディは最後に大きくグラリとせずに、粘り強い姿勢で山道もクリアしていきます。
話はそれますが、日本の各自動車メーカーの開発陣のお話を伺っていると、ベンチマークや競合として意識するモデルは圧倒的にドイツ車、もしくは日本車が多いように感じます。「フランス車も確認していますか?」と聞くと、「一応乗っています」、「確認はしています」という、ドイツ勢と比べると答えのテンションが低く感じることが多いような気がするのです。
しかし、シトロエンC3やシトロエン C3 エアクロス SUV、あるいはルノー カングーなどでもいいのですが、乗り心地の良さ、乗り味の絶妙さは学ぶ所も多いような気がします。
パワーステアリングのセッティングも違和感がなく、素直で運転がしやすいのも魅力。なお、110PS/205Nmの1.2L直列3気筒エンジンは、1人乗車であれば思いのほか速いペースでも走らせることができます。
6ATはとくに1速、2速で少しスムーズさに欠ける点もあり、兄貴分のシトロエン C5 エアクロス SUVが8ATを採用している点も考えると、変速フィールの洗練度では譲るのも感じられます。それでも、街中から高速道路まで瑕疵といえるものではなく、まさに必要十分といえます。
人気コンパクトカーのC3に対して、居住性や積載性を大きく向上させながら、走りの良さはほとんど変わらず、259万〜297万円という価格設定は買い得感の高さも感じさせてくれます。
(文/写真 塚田勝弘)