●ベースモデルのシトロエン・C3と同等以上の仕上がり
日本市場でシトロエン最大のヒットモデルになっているシトロエンC3をベースに、全高を高めたSUVに仕立てられたのが「シトロエン C3 エアクロス SUV」です。
最近のコンパクトカーの中でも出色の出来といえる、乗り心地の良さ、ハンドリングの良さなどの走りからも「売れるのもよく分かる」と感心させられるのがC3。
シトロエン C3 エアクロス SUVは、そのC3がベースですから乗る前からの期待値はかなり高く、結論からいうとSUV化されたネガはほとんど感じさせず、C3と同等以上の仕上がりになっています。
ボディサイズは、全長4160×全幅1765×全高1630mm、ホイールベースは2605mm。日本の狭い住宅街や駐車場でも取り回ししやすいサイズに収まっています。
なお、ベースのC3は、全長3995×全幅1750×全高1495mm、ホイールベースは2535mm。シトロエン C3 エアクロス SUVは、C3よりも若干大きくなっていますから、1550mm以下の機械式立体駐車場への入庫など、サイズアップによるマイナスはこうした駐車などではあるかもしれません。
一方で、後席を前方にスライドさせると最大で520Lという荷室容量が出現し、後席をすべて倒せば最大容量は1289LとコンパクトSUVではトップクラスの積載性を誇ります。
さらに助手席の背もたれを前倒しすれば、約2.4mの長尺物にも対応。先述したようにボディサイズの若干の拡大が許容できれば、居住性・積載性などの利点の方が魅力的に感じるはずです。これくらいのサイズがあれば、ロングドライブはもちろん、ルーフボックスなども活用すればキャンプやスキーなどにも対応してくれそう。
また、全高が高くなったことで前後席の頭上まわりの開放感が高まり、ロングホイールベース化による後席フットスペースの余裕なども感じられます。後席はリクライニングに加えて最大150mmのスライドが可能で、荷物が多い時やゆったりくつろいで座りたい時など、乗員と荷物に応じて調整できるのも魅力です。
日本勢も含めてBセグメントSUVの競争が激化していますが、秀逸なパッケージングもシトロエン C3 エアクロス SUVの美点。その見どころは、シトロエンらしい遊び心にあふれた内・外装、走りだけではありません。
(文/写真 塚田勝弘)