バブル崩壊後の低迷する世相を反映して強いコスト意識を打ち出した8代目カローラ【新型カローラ登場記念】

●2ドアクーペ・レビンがラインナップされた最後の世代はコスト意識が大幅変化

2019年9月17日、通算12代目となる新型トヨタカローラが登場したのを記念して、50年以上に渡ってマイカーとして人気を誇っているカローラの歴史を振り返るこの企画。今回は1995年に登場した8代目カローラです。

8代目カローラ外観02
後期型はカラードバンパーとなったが、前期型のバンパー上部は黒い樹脂が剥き出しだった

1995年は阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件の発生など悲しいニュースが多かった年です。その年の5月に8代目となるカローラは登場しました。先代モデルはバブル景気終了直後に発売され、この8代目はバブル景気後に開発されたこともあり、高級車路線だった先代モデルと比べると大幅にコストダウンを感じるモデルとなりました。

8代目カローラのコンセプトは、コンパクトカーの本質を追究した「ベストコンパクトカー」の創造です。サイズや高品質を維持しながら厳しい経済状況が被う社会と調和を目指すという観点から、省資源、省エネルギー、および安全性を追求。その一方で価格、維持費を抑えるトータルコストオブオーナーシップに配慮しています。

8代目カローラ外観03
補修時の省資源やリサイクルまで考えたデザインがなされた
8代目カローラ外観04
2ドアクーペのカローラレビンはこのモデルが最終型となった

ボディバリエーションはフルモデルチェンジを行った4ドアセダンと2ドアクーペのカローラレビンの2種類に加えて4ドアハードトップのカローラセレス、ステーションワゴンのカローラワゴンの合計4タイプとなり、2BOXのFXは廃止されています。

エンジンやシャシーをはじめ全てのコンポーネンツ自体の構造、材質を見直し、同時にボディへの取り付け構造や要素を見直すことで、セダンでは最大50kg、クーペでは最大70kgの軽量化し省資源を追求。さらに、セダンでは損傷頻度の高い上部を塗装しないブラックとして補修時の省資源、リサイクルを追求したバンパーを採用しています。

搭載されているエンジンはセダンが1.3L、1.5L直4のハイメカツインカム、1.6L直4。そして1.8Lディーゼルエンジンの3種類。レビンは1.5L直4と1.6L直4の2種類となっています。トランスミッションは4速/5速MT、3速/4速ATが組み合わされます。駆動方式はFFを中心にセダンには4WD車を設定しました。

8代目カローラ内装01
このモデルからディスプレイ位置が設定された
8代目カローラ内装02
室内は高い静粛性を実現している

サスペンション形式は前後ともにストラット式で、フロントサスペンションのメンバーの向上などによって室内への振動・騒音の低減を実現しました。安全面では衝突吸収ボディ構造CIASをさらに進化。そして、運転席SRSエアバッグを一部グレードに標準装備としました。

車両価格は1995年にフルモデルチェンジした4ドアセダンは91万円〜163万7000円。2ドアクーペのレビンが121万2000円〜164万円と先代モデルより値下がりしています。

この8代目カローラが販売されている時は4ドアハードトップのカローラセレス、カローラワゴン、バン、ミニバンタイプのカローラスパシオが販売されていましたが、セダンとクーペ以外は異なるモデルライフとなっていました。

(文:萩原文博、写真:トヨタ自動車)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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