【マークX GRMN試乗】やっぱりチューニングされたFRは最高!

●トヨタらしからぬ(?)乗って愉しい味付けの「マークX GRMN」。

2015年に100台限定で発売され、あっという間に売り切ってしまったマークX GRMNが再登場しました。発表は東京オートサロン2019の会場でしたが、それに先がけ2018年のうちに千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗を行っています。

ベースとなっているのは350RDSです。エンジンは基本ノーマルですが、組み合わされるミッションは6速ATから6速MTに変更されています。また、最終減速比も3.769から3.615へとハイギヤード化されています。前後のサスペンションはショックアブソーバーを変更。パワステのチューニングなども変更されています。

大きな変更点とも言えるのが、ボディのスポット溶接打点の追加で、その数はスタンダードモデルに比べて252点にも及びます。そしてカーボンルーフもオプションで設定。カーボンルーフモデルはボディ最上部で10kgの軽量化を可能にしています。

エクステリアでは、フロントバンパーの光りものをダーク化、4本出しマフラー(大型バッフル)、19インチBBS製鍛造アルミホイール&前後異サイズタイヤ(フロント:235/40R19、リヤ:255/35R19)を採用。リヤスポイラーやホワイト塗装のブレーキキャリパーが付き、パッドはスポーツタイプに変更されています。

インテリアはカーボン調加飾とピアノブラックのコンビインパネ、ウルトラスエード表皮の専用スポーツフロントシートなどを採用、ブラック基調のシックで引き締まった印象になっています。

ピットから出て行くだけでも、加速のソリッド感はしっかりと伝わってきます。やっぱりサーキットで乗るならMTに限ると感じます。アクセルを踏んでいけば、自分が欲しい加速感をキッチリと手に入れることができます。

何よりも気持ちいいのがコーナーへ向けてブレーキを踏みながらシフトダウンしていくときです。単純に速さだけを追求するなら、よくできたATでブレーキに集中してコントロールしたほうが効率的かもしれませんが、シフトダウンでリズムを取りながらコーナーに入っていくのは気持ちよく楽しいものです。

路面はウエットです。ならば、ちょっと振り回しながら走ってやろうと思うのも当然です。ブレーキのタッチがよく、キッチリコントロールできるタイプなので、コーナー手前でしっかりとフロント荷重にしてからステアリングを切り込んでいくと、そのままリヤが滑り出します。同時にシフトダウンでギヤを2速へ(ここでドリフトドライバーなら3速のままでしょう)、アクセルコントロールでコーナーの出口にクルマを運べます。滑らしていると明らかにコーナリング速度は遅いのですが、楽しさは何倍にもなります。

ボディ剛性の高さも助かって、コントロール性のよさはかなりのもの。GRMNという特別なモデル、それも限定発売ですが、トヨタという大メーカーがこうしたクルマを作ってくれると、本当にうれしくなります。

(文/諸星陽一・写真/宮門秀行)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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