【メルセデス・ベンツ C220dステーションワゴン 試乗】ワゴンとの相性のいいディーゼルエンジンは長距離ドライブで本領発揮

マイナーチェンジとはいえ構成部品の約半分となる6500カ所もの改良を行ったというのが今回のCクラス。エクステリア面もよく見ればそれなりの変更を受けてはいますが、よく見なければ変更点もわかりにくい……でもじつは改良されているというのはいかにも質実剛健なドイツ車らいい考え方と言えます。

Cクラスに唯一用意されているディーゼルエンジンはC220dに搭載される2リットルのディーゼルターボです。欧州ではディーゼルエンジンの人気が下がってきているという話が伝わってきますが、実売的にみるとそれほどの低下はなく、まだまだ人気はあります。

とくに「カンパニーカー」と言われる、企業が購入し社員が使うクルマ(と言っても日本の社有車のような扱いではなく、個人に与えられるクルマです)はディーゼル車が好まれるといううこともあり、人気は健在なのです。

この220dに搭載される2リットルディーゼルはEクラスにも採用されたもので、最高出力は194馬力、最大トルクは400Nmにもなりトルクフルで力感あふれるものです。9速のATとの組み合わせでは、発進からよどみない加速を実現し余裕あふれる走りを得ることができます。

ワゴンをセダン的に使うユーザーも多い日本ですが、本来のワゴンらしくラゲッジルームにたくさんの遊び道具を積み込み、さらにルーフ上にもボックスを載せて高速道路で長距離を移動するといった走りにはピッタリのフィーリングを持っています。

試乗車はAMGラインというオプションが装着されたモデルで、サスペンションはオプションのエアボディコントロールとなっていました。

エアボディコントロールは、エアスプリングと電子制御ダンパーを組み合わせたもので、ゆったりとしたコンフォートモードから引き締まったスポーツ+モードまで6モードの走行モードをチョイスできます。ワインディングを走る際にスポーツ+モードを選ぶとエアサスではないような、ビシッと引き締まった足まわりを得られます。直線が続く高速道路などではコンフォートを選ぶことで、かなりやんわりとした乗り心地を得られます。

ただし、ACCと車線維持装置を使っているときはコンフォートではなく、ノーマル以上のモードをセレクトしたほうが、より正確に車線内にボディが収まった走りが可能となります。ウインカーを操作することで自動的に車線変更を行うアクティブレーンチェンジアシストも装備しますが、この作動も同じでノーマル以上のモードのほうが正確で、コンフォートモードだとレーンチェンジ後に行き過ぎるような場面もありました。

 

ACCの設定速度よりも遅い状態で先行車に追いつき、アクティブレーンチェンジアシストを使用すると、加速しながらレーンチェンジを行うのですがその加速感がちょっと強すぎる印象がありました。加速しつつ右に車線を変えていくのですが、加速しているがために先行車に近づきすぎてしまい、減速してからレーンチェンジという場面もありました。

車間距離の設定を短くしているからかも知れませんが、加速→減速→加速という動きでスムーズさに欠ける部分は少し気になるところでした。

(文・写真/諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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