【スズキ・ジムニー試乗】軽自動車としてではなく「ジムニーとして」指名買いされる、その実力に納得

軽自動車にしては比較的長めのストロークを持つクラッチペダルは扱いやすい設定です。ペダルストロークを短くしたほうが操作が素早くなり、街乗りでは楽でしょうが、ゆったりと乗ることが似合い、クロスカントリー走行もある程度ペダルストロークがあったほうがゆっくりとしたシフト操作となるので、好ましいものとなります。

フレームの剛性がアップしたことやボディマウントのゴムブッシュが大型化されたこともあり、乗り心地の快適性はアップしています。サスは固定式ですが良路面でも快適。ストロークはしっかりとありますし、ロール時の安定性も高いです。

今のクルマの多くが扁平率の低いタイヤを履きますが、ジムニーのタイヤは175/80R16としっかりとしたエアボリュームを持ちます。このタイヤだけで十分な快適性を確保できています。

クロスカントリー走行では、サスペンションストロークを生かしたジムニーの真髄が見えました。ジムニーは2WD(FR)と4WDを切り替えるパートタイム4WDです。さらに副変速機を備えていて、ローギヤを使うことができます。左右にこぶのあるモーグル路面でもフロアをこすることはなく安定して前に進むことができます。

 

なによりも感動するのがスタックしそうな場面で働くブレーキLSDによる駆動力の効果です。空転したタイヤにブレーキを掛けることにより、接地しているタイヤに積極的に駆動力を配分し、スタックから脱出します。このブレーキLSDはローギヤモードのみで作動します。

また、坂道発進時に最長2秒ブレーキをかけ続けるヒルホールドコントロールや、下り坂でブレーキを自動制御し低速走行ができるヒルディセントコントロールも備え、イージーなクロスカントリードライブが可能です。

(文/諸星陽一 写真:前田惠介/諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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