12気筒だからこそ分かるグランドツアラーの魅力
ASTON MARTIN DB11
今もっとも勢いを感じるアストンマーティン。その中でも中核を成すDBシリーズは、GT=グランドツアラーとして長年続けられてきた同社にとって代表的存在だ。しかも最近では、他社もその市場を狙い多くのライバルが存在する。それでもアストンマーティンは揺るぎない。それどころか、最新の「DB11」には、時代に見合った新しい風格すら持ち合わせている。
「アストンは、自分への最高のご褒美の時に買いたいね」
そう語るのは、モータージャーナリストの清水和夫。600psや700psを放つスーパースポーツカーからゼロエミッションのエコカーまで、ほぼすべてのクルマをテストし続けているとはいえ、アストンマーティンDB11は格別だという。
「性能が派手に出ていなくて、あえて控えめにしているのがいい。よく言われるイギリスのアンダーステートメント、英国紳士の“たしなみ”だね。DB11は基本的にはスポーツカーなんだけど、GTとしての資質というものをもっているから、実にイギリス車らしいと思う」
ここで試乗しているのは、DB11のトップグレードとなるV12モデルだ。排気量は5.2リッター、V12エンジンにツインターボを組み合わせ、608psのパワーと700Nmの最大トルクを発揮し、最高速度も322km/hを誇る。
「V12というのは究極のエンジン。でも、アストンを選ぶ人にとって、パフォーマンスは関係ないと思う。私自身、アストンにそれを望んでいない。加速が何秒とか、最高速がどうのこうのとか、どうでもいいように感じてくる」
とはいえ、スポーツカーとしてはもちろん、GTとしても優秀だ。ただ、主義はあるものの、主張は控えめというのが、DB11の魅力なのだろう。
「このV12エンジンを心底味わうべきだね。まさに極上の世界。ロードカーとして最上のグランドツアラーだと思う。とにかく“やりすぎてない”のがいいね。それにハイグリップタイヤを履いているにも関わらず、乗り心地も良いしね。快適性が高いのにコーナリング性能もしっかりしているのも見事。イギリスのカントリーロードを走ることを意識して造られているのがよく分かる」
そして、清水和夫は、こう締めくくった。
「DB11は、ゆっくり走っている時と、飛ばしている時の感覚が同じなんだよね。こういうスポーツカーは他に見当たらない。デザインもDB11になって洗練されているし、デジタル表示のメーターになったけどアナログの雰囲気をちゃんと残している。こういうところも、アストンマーティンって上手いなって思う。まさに“スキ”のないヤツって感じだね」
この日、久々に京都周辺をDB11でドライブした清水和夫にとって、あらためてアストンマーティンの世界に気付かされたところが多いようだ。その模様を動画にて詳しくレポートしているので、併せてご覧頂きたい。美しい景色の中でみるDB11は、また格別であることが伝わると思う……。
REPORTER◎清水和夫(Kazuo SHIMIZU)/野口 優(Masaru NOGUHCI)
PHOTO & MOVIE◎小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
SPECIAL THANKS/アストンマーティン・ジャパン ASTON MARTIN JAPAN