昨年9月末、経済産業省が水素燃料で走るFCV(燃料電池車)の早期普及を目的に、水素ステーションを設置・運営する際の規制緩和を決定しました。
トヨタ自動車やホンダはFCVを「究極のエコカー」に位置付けており、経産省がFCVの普及に力を入れる背景には、そうした世界に誇る国内企業の技術力を活かす狙いが有るようです。
欧州や中国の自動車メーカーがEVシフトを急ぐなか、既に両社はFCVの優位性(航続距離、クイック・チャージ等)を伸ばすべく、車両価格の引き下げに向けて動いています。
トヨタは今年1月の自動車技術展「オートモーティブワールド」において、同社が2020年頃に投入を予定しているとみられるFCV「MIRAI」の次期モデルで燃料電池システムのコスト半減を宣言。同年以降に世界で3万台/年以上、国内で1万台/年以上のFCVを販売する目標を掲げています。
また、同社はセブン‐イレブンと共同で2019年秋を目処に、水素を活用する次世代型コンビニ店舗の実現に取組んでおり、約6,000台の商品配送用トラックをFCV化するなど、産業車両での水素利用拡大により、水素の安定的需要を確保、水素ステーションやFCVの普及に繋げようとしています。
一方、政府も冒頭のように、水素ステーションの整備費が4~5億円、運営費が4~5,000万円/年程度かかることから、2020年までに安価な設備の開発や規制緩和などで整備費と運営費をそれぞれ半減、東京五輪を開催する2020年度に水素ステーションを160カ所、2025年度に320ヵ所まで増やす考え。
経産省は、技術面で日本の優位性が高いFCVを軸に、EVを含めた様々なエネルギー源によるコスト・将来性等を科学的に検証する新組織を年内にも立ち上げるそうです。
(Avanti Yasunori・画像:TOYOTA)
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