CX-5には、2.0L(2WDのみ)と2.5L(2WD/4WD)のガソリンエンジンが設定されています。
2018年2月に受けた改良では、ピストンのエッジカット形状の変更、排気ポート形状の見直し、低抵抗ピストン、冷却水の流量の適切な制御、新ノズル付拡散インジェクターなどを採用することで、実燃費向上やトルクの改善が図られています。
最大の注目は、2.5Lの直列4気筒ガソリンエンジンの気筒休止システム。気筒休止というと6気筒以上が一般的で、4気筒で採用しているのはフォルクスワーゲン・ゴルフなど少数。
開発当初、まず気筒休止を試したところ、気筒休止の2気筒時は、音・振動面で使い物にならない(商品にならない)ほどだったそう。そこで、振動対策としてトルクコンバーターに振り子ダンパーを採用することで、振り子の力で振動を打ち消し、振動を抑えるという手法を採用。
なお、振り子ダンパーを採用しないでフライホイールを重くする方法だとアクセルレスポンスが悪化するため、CX-5には採用されていません。さらに、油圧、空気量、燃料量、点火時期を緻密に制御することにより、切替時のトルク変動を抑えているそうです。
2.5Lガソリンの気筒休止は120km/h以下が作動条件で、トルクと回転数によりますがエンジンが低負荷の時に気筒休止に入ります。そのため、アクセルのオン/オフが激しいと気筒休止に入りにくく、80〜90km/hくらいの速度域が入りやすいそう。
こうしたレクチャーを受けた後に街中から走り出すと、徐行程度の速度でも一瞬2気筒に入るシーンがあり、驚かされました。
なお、音や振動では気筒休止の切り替わりが分からないとのことで、急遽エンジニアの方がプレス試乗会向けに用意したスマホ・アプリ(緑の2が2気筒、赤の4が4気筒)で目視することで気筒休止の切り替わりを確認。
ほかのノイズや振動が比較的小さめな街中でも気筒休止の作動をこのアプリなしで確認することは不可能でした。高速域になればほかの要因による音・振動が高まりますから乗員が察知するのは不可能でしょう。
気筒休止の狙いは疑似小排気量運転とのことで、ポンプ損失と冷却損失を小さくすることが可能。つまりは内燃機関の進化であり、今回は実燃費向上を目的としたマツダらしいこだわりが感じられます。
(文/写真 塚田勝弘)