雪道でトラクションコントロールを切ったほうがいい状況があるって本当?

多くのクルマについているけど、ほとんどの人が使ったことのないボタンのひとつが「トラクションコントロールをオフ」にするスイッチでしょう。このスイッチは本当に押す必要があるの? いつ押せばいいの? と、疑問に思っている人も少なくないと思います。

いったい押すべき状況があるのか?それともないのか? ……結論から言えば、あります。

といっても、なにも後輪をスライドさせてドリフトしようというわけではありません。もっともっと、一般のユーザーに身近なシーンで使うのです。そして使用すべき状況は、雪道を走るドライバーにぜひ覚えておいてもらいたいんですよ、実は。

そのシーンとは、雪道を走っていてスタックした時です。

トラクションコントロールはタイヤの空転を防ぐ仕掛けですが、スタックから脱出しようという状況では空転を防ぐためにエンジン出力を絞りすぎてしまうことがあります。それだとまったく勢いがつかずにスタックから脱出することができません。そこでトラクションコントロールの作動を止めて、タイヤをしっかり回転させてスタックから脱出するというわけです。

「状況をみて適切に働くトラクションコントロールにすればいいじゃないか?」と思うかもしれないし、実際にそれが理想なのですが、そのためにはセンサーを充実させるなどコストがかかります。そこでスタックした際には状況に応じてドライバーが任意でトラクションコントロールの作動を停止することが推奨されているわけです(もちろん取扱説明書にもそう書かれています)。

というわけで、雪道を走る機会があるなら「スタックしたらトラクションコントロールはスイッチでオフ」と覚えておきましょう。

ただし、高度な制御システムや悪路走行モードを搭載したSUVなどではトラクションコントロールが適切に作動するので任意にオフする必要はないこともあります。そのあたりは取扱説明書で確認しましょう。

(工藤貴宏)

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この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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