さて、2018年の180SX周りの状況ですが、現在でも高い人気を誇っています。
記者は今回、首都圏のパーキングエリアで休憩していた複数の180SXオーナーにも話を伺うことができましたので、そのコメントを折り込みながらレポートします。
中期型に乗る“cheez”さんや“ネモ”さんによれば「オーナー仲間の年齢層は幅広く、20歳代から40歳代がボリュームゾーン」のようです。
東京オートサロンのオプション誌ブースに展示された経験もあるRPS13に乗る“いしい。”さんによれば、「最近、中古車価格がとてつもなく上がっている」そうです。
実際に記者も調べてみましたが、走行距離の少ないノーマル車は150万円台以上というのが多く、200万円に近いものも少なくありません。また、走行距離15万km台でカスタムも多く施されていても、150万円前後の値付けをされているものが多いです。
つまり、もはや走行距離で価格がつくという次元ではなく、程度の良し悪しで価格が大きく上下する「プレミアム旧車」特有のゾーンに入ってきているようです。
そう、今や180SXはスカイラインRSやAE86といったモデルへの入り口付近にいるのでした。
この流れを受け、かつてはカスタムして乗ることが当然の風潮があった180SXを、内外装をなるべくノーマルで保ちながら純正風味で味わおうとする人が増えているようです。
後期型オーナーの“TERU!”さんもその一人。
彼が乗るのは後期型のみに存在するNAエンジン搭載の『タイプS』。エンジンはフルチューンを施しているものの、内外装はなるべくオリジナルをキープしたいというのが“TERU!”さんの意向です。しかし近年、純正部品の製廃(取り扱い終了)が進んできているとのこと。
「外装パーツについてはかなり前から欠品が増えています。今後はゴム製品などの消耗部品の販売終了が増えていくと思われますので、今必死になってウェザーストリップモールやガラスウィンドウ類を集めている最中なんですよ」とのこと。
“TERU!”さんは今後もずっと180SXに乗り続けたいそうですが、その魅力はどこにあるのかと聞けば「5ナンバーのコンパクトなサイズであることと、今となっては軽量なボディ(約1.2トン)、それと今ほど電子制御化が進んでいないので各部がいじりやすいことが魅力です」とのこと。
このほか、話を聞いた180SXオーナーが口を揃えて言っていたのが「独自のスタイリング」の良さについてでした。
歩行者保護基準に合わせる今となってはありえないほど低いボンネットフードや、同じく衝突基準などから復活は絶望的と思われるリトラクタブルヘッドライト、それに流れるようなラインを描くファストバックフォルムなどは180SXならではのもの。今後、同じようなモデルが登場するとは考えにくい要素にあふれています。
そう、メモリアルイヤーで盛り上がる最後のS13系こと180SXの魅力はかっこよさに尽きる、という明快な話なのでした。
(文・写真:ウナ丼)