【日欧ブランド・コラボ列伝 第2回】『いすゞ・ジェミニ・イルムシャーターボ(1986年)』DTM車製作の名門が闘魂注入!

さらに1987年5月には『イルムシャーRS』というモデルが追加されます。これは従来のターボエンジンに変えて4XE1型1.6L 16バルブDOHC自然吸気エンジンを搭載したものです。
この自然吸気イルムシャー第1弾モデルは、当初は様子見といった感じで限定200台で販売されました。
しかしこれは好評を博したようでわずか4ヶ月後の9月には第2弾が限定200台として追加されます。しかしこのときエンジンは再びターボに戻っていました。
この頃からジェミニに限らずいすゞにおけるヨーロッパブランド・コラボシリーズは多品種展開となっていき、マニアでも全モデルを把握するのは難しい情勢になっていきます。
(1985年10月には上級セダン『アスカ』、そして3ドアスポーツハッチバックである『ピアッツァ』にも2L 4ZC1型SOHCターボを搭載した『イルムシャー』が既に登場しており、ジェミニともども大好評で迎えられていましたが、いずれも限定車が多く設定されていて体系は複雑です)

いすゞはその後1988年に、かつてRSで限定搭載した1.6L DOHC16バルブエンジンを積んだカタログモデル『イルムシャーDOHC』を登場させます。と同時に競技仕様車『イルムシャーR 』のフロントにも同じ1.6リッターエンジンが積まれました。

ドイツの有力チューナー・イルムシャーが手がけたジェミニ・イルムシャーは短期間でジェミニの、そしていすゞのスポーツイメージを大きく躍進させました。

1990年にジェミニが3代目にフルモデルチェンジした際にもこのコラボ・シリーズは継続設定され、ハイパワー&ハイメカ化が進行しました。最終的には1.6L DOHCターボ・180psでフルタイム四駆の『イルムシャーR』が登場するに至るのです。

それまでほとんど知られていなかった『他ブランドが車両をチューニングして仕上げる』という概念。
ジェミニ・イルムシャーは、『シャレード・デ・トマソ ターボ(第1回で紹介)』とともに、成熟した西欧自動車文化を日本に広く知らしめた存在でした。

(文:ウナ丼 写真:いすゞ自動車)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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