新車でも中古車でもいわゆる“人気車”と呼ばれるクルマは存在します。しかし新車と中古車の人気車で大きく異なる点があります。それは人気が価格に反映されることです。
新車の場合、人気が高い車種だからといって納車までの期間が長くなるということはありますが、車両本体価格が高くなることはありません。しかし、中古車の場合、人気が高い車種は価格が高くなるというケースはよくあります。それは中古車には定価がなく、需要と供給のバランスによって価格が決まるからです。したがって人気の高い車種は中古車となってもなかなか値落ちしにくいため、新車との価格差が小さく高年式の中古車を購入するなら、新車を購入したほうがお得!という車種もあるのです。
そんな中古車で人気が高く、新車で購入したほうがお得と言える車種の一つがトヨタ・ランドクルーザープラドです。
現行型ランドクルーザープラドは4代目にあたるモデルで、2009年9月に登場しました。170カ国以上の国・地域で販売されているランドクルーザープラドは路面状況を問わず快適な走行性能を実現。さらにユーティリティを徹底的に追求し、「いつでもどこへでも行ける安心感と快適性」を備えたクルマとして開発されました。
2013年にマイナーチェンジを行い、内外装の変更をはじめ、サスペンションのチューニング変更による走行性能の向上。スイッチ操作でトラクションやブレーキ性能を切り替え、オフロードの走破性を高めるマルチテレインセレクトの走行設定を従来の4モードから5モードに変更しています。
続いて2015年6月の一部改良では新開発の2.8Lクリーンディーゼルエンジンを搭載。さらに2017年9月に2度目のマイナーチェンジを行い、内外装のデザイン変更をはじめ、衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」やドライブスタートコントロールを全車標準装備するなど安全性能を向上させて、商品力を高めています。
現行型ランドクルーザープラドの中古車相場を中古車情報サイト「カーセンサーnet」で調べてみると、660台の中古車が流通しています。2017年1月当時の平均価格は375.5万円でした。中古車最大の需要期である3月に一旦390万円付近まで値上がりしますが、9月に最安値の366.5万円を記録します。しかし、4WD人気が高まるウィンターシーズンを迎えて、現在の平均価格は約372万円まで上昇しています。今年の1月の平均相場と最新の相場を比べるとわずか3.5万円しか値落ちしていないことになります。平均価格が300万円以上の中古車で年間3.5万円しか値落ちしていないというのは人気車と呼ばれる車種の中でも、グンを抜いて値落ち幅が小さいです。
さらにもっと詳しく見てみると、クリーンディーゼルエンジンが追加された2015年からマイナーチェンジが行われる2017年8月までの高年式中古車で、78台と最も流通台数の多いグレードが2.8ディーゼルターボTX “Lパッケージ” です。最新の平均価格は436万円。同じ2.8ディーゼルターボTX “Lパッケージ”7人乗りの新車の車両本体価格が482万2200円ですから、約38万7000円差となっています。
中古車は2015年〜2017年式なので、車検期間が長いモノだと2年近くありますが、短いものだと来年には車検を迎えます。したがって、車検費用などのランニングコストを考えるとこの価格差はさらに縮まります。
しかも2017年9月のマイナーチェンジで、内外装の変更をはじめ、「Toyota Safety Sense P」を標準装備し、安全性を向上させています。安全装備は後付けやアップデートができませんので、これから購入して長く所有するのであれば、人気車ゆえに価格の高い中古車のランドクルーザープラドより、新車のほうがバリューは大きいと言えます。加えて、手放す時の査定価格にも大きく影響します。
ランドクルーザープラドのように人気の高い車種では高年式の中古車より新車を購入したほうが、注目の高まっている安全装備面での満足度も高く、長い目で見ればお得!ということになります。
(萩原文博)