今回の発表のメインテーマは、1997年にプリウスを発売して以来、トヨタが磨き続けてきたハイブリッドを軸とした電動化技術ですが、こうしたテクノロジーはハイブリッドだけにとどまらず、すべての電動化に対して展開可能です。サプライズで会場を訪れた、ミスター・プリウスこと、同社の内山田竹志 会長は『20年にわたって培ってきた電動化技術を見ていただきたい』といった内容の挨拶をしました。
電動化技術の中でも電動車両に共通する3要素が「モーター」、「バッテリー」、「パワーコントロールユニット(PCU)」です。
この3要素にエンジンを足したのがハイブリッドカーで、そこに外部充電機構を加えるとプラグイン・ハイブリッドになります。また燃料電池と電動化3要素を組み合わせるとFCV(燃料電池車)になります。実際、トヨタのFCV「MIRAI」は、レクサスRX450hのモーターとPCU、カムリハイブリッドのバッテリーを流用しています。まさに長年のハイブリッド開発により電動化3要素を鍛え上げたことで、ゼロ・エミッションビークルも展開しやすくなっているのです。
そして、100%電気自動車は、電動化3要素だけで成立します。あらっぽい言い方をすれば、プラグイン・ハイブリッドからエンジンとガソリンタンクを外して、バッテリーの搭載量を増やせば電気自動車が完成するわけです。
実際、トヨタが少量生産した電気自動車「eQ」は、クラウンハイブリッドのモーター、プリウスのPCU、プリウスPHVのバッテリーを利用しています(バッテリーはセル数を約3倍に増やしたそうです)。つまり、ハイブリッドカーを開発、生産、進化させてきた20年の歴史というのは、これから電動化に本腰を入れるライバル他社に対して、大きなアドバンテージといえるでしょう。
ハイブリッドを中心に電動車両37モデルを世界中で販売しているトヨタ。日本の市場環境を見ていると、ハイブリッドが当たり前になってしまい新鮮さはありませんが、じつは数字でも技術でも電動車両トレンドをリードする存在というわけです。
(文・写真 山本晋也)