3Dプリンタで砂型を製作。ダイハツが鋳造部品用の砂型を3Dプリンタで製作する際に欠かせない新技術を開発

3Dプリンターとひと口いっても価格も性能も多様ですが、クルマのパーツ作りにも活用されています。

8月24日、ダイハツが3Dプリンターで製作する際の新技術を開発したと発表しました。エンジンやトランスミッションなどに使用する鋳造部品を生産する時に欠かせない「砂型」を3Dプリンターで製作する上で必要な新技術だそうです。

今回の新技術により従来は困難だった3Dプリンターによる鉄系部品の砂型製作が可能になり、 鋳造部品試作の短期化、低コスト化を実現したそうです。さらに、砂型に使う砂の100%リサイクルも可能としています。

従来の鋳造部品の製作は、どのようにされてきたのでしょうか。

まず、木型・金型を使って砂型を製作し、そこに溶融した鉄やアルミニウムなどの金属を流し込む工程が必要になります。しかし、木型・金型製作に高度な技能が必要なこと、製作期間の長期化が課題としてありました。さらに、これらを使った砂型製作の際には「砂のリサイクル性」という課題も残ったそうです。

3Dプリンターにより直接砂型を製作する技術が進んできていますが、3Dプリンターの活用にも課題があり、溶融温度の高い鉄系部品では砂型に割れが発生するなど、対応が困難だったそうです。そこで、ダイハツが砂型に使用する砂の表面に酸触媒などで2層コーティングする新技術を開発したことにより、人工砂を使いながら、常温で高速硬化の特徴ある「フラン自硬性プロセス」と呼ばれる方法で造型することに成功しました(特許出願中)。

これにより、溶融温度の高い鉄系部品への対応、試作作業の短期化を両立し、品質の安定化が実現できたそうです。さらに、既存の3Dプリンターと量販の人工砂の使用が可能になり、汎用性も向上。さらに、使用済みの人工砂に再コーティングを施すことで、先述したように人工砂の100%リサイクルを実現し、コストの抑制や環境負荷低減にも貢献できるようになっています。

ダイハツは今回の新技術を含めて「技術の手の内化」を進めています。たとえば、ミラ イースでは、バックドアの内製化、インライン化を進めているのも一例といえるでしょう。同社では、よいクルマを手頃な価格で提供する良品廉価のクルマ作りを推進するとしています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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