2017年モデルの日産・GT-Rはラグジュアリーセダンと錯覚する快適さを実現

試乗したモデルはGT-Rプレミアムエディション。

GT-Rに乗り込み、走り出して感じたのは静粛性の高さです。吸音材や遮音構造の徹底的な見直しを行ったため、エンジン音や風切り音の室内への侵入が抑えられ、車内での会話やオーディオの音が非常に明瞭に聞こえます。その静粛性の高さはプレミアムブランドの高級セダンに匹敵するレベルです。

走行安定性の高さも17年モデルGT-Rの特徴です。2007年当時のGT-Rは路面のキレイなサーキットなどでは抜群の速さを発揮しましたが、硬いサスペンションとワイドタイヤによって、路面にアンジュレーションのある一般道ではハンドルが取られることがありました。

しかし、17年モデルのGT-Rはボディ剛性の前後バランスの調整などを行ったことで、ハンドルを修正するという操作がほとんど必要ありません。サスペンションは一般道でも高速道路でも路面からの入力をしなしてくれ、快適に走行することができます。

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最高出力570ps(419Nm)、最大トルク637Nmまでパワーアップした3.8LV6ツインターボエンジンは、非常に扱いやすいです。試乗した日はあいにくのウェット路面でしたが、安心して踏み込むことができますし、高速道路での追い越し加速も右足に少し力をいれるだけで、スッと加速してくれます。

2速や3速といったギアでレッドゾーンの始まる7000rpmまで回してもまったくパワーダウンすることがなく、スカッとする気持ちの良い加速を見せてくれました。

GT-Rは日本的なおもてなしの精神で上質な乗り心地そしてどこまでも気持ち良く乗り続けられるGT(グランツーリスモ)性能と圧倒的な速さのR(レーシングテクノロジー)という2つの両立をさせることを目指しているクルマです。

今回試乗した17年モデルのGT-Rは世界基準の圧倒的な走行パフォーマンスとラグジュアリーな装備そして乗り心地を両立させたモデルへと進化しています。

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GT-Rは登場した当時は速さが際立ったモデルでしたが、9年という時間の経過による熟成によって、速さとラグジュアリーを両立した日本のスーパースポーツカーに相応しいモデルに仕立てられています。

これまでは欧州のプレミアムブランドのスポーツカーが目標でしたが、この17年モデルのGT-Rはそれらに肩を並べるレベルまで来たといえます。

(萩原文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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