ポールスタートで一度も抜かれていないのに4位?鈴鹿1000kmは「THE耐久」【SUPER GT 2016】

28日の12時30分頃、決勝レースがスタート。

路面は薄乾きのハーフウェット。タイヤ選択が分かれるところでしたが、大方のチームはスリックタイヤ、予選2位の31号車 TOYOTA PRIUS apr GTはレインタイヤをチョイス。

ポールポジションだったUPGARAGE BANDOH 86がホールショットを奪い、順当にトップをキープ。その後も後続をどんどん引き離していきます。特にレインタイヤを選んだ TOYOTA PRIUS apr GTは中盤辺りまで順位を落とすことに。

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序盤はかなりの混走状態。しかし、ここから抜け出してきたのがSUBARU BRZ R&D SPORT。

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ただ、混走から抜け出して単独2位になるもUPGARAGE BANDOH 86との差は大きく、なかなか追いつくところまでは行きません。

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そこに猛追を仕掛けてきたのがGAINER TANAX GT-R。しかしこのGAINER TANAX GT-RとSUBARU BRZ R&D SPORTの間にアクシデントが発生。

24周目にSUBARU BRZ R&D SPORTに仕掛け2位浮上したGAINER TANAX GT-Rですが、この時SUBARU BRZ R&D SPORTに接触、BRZはコースアウトを喫してしまうことに。また、この接触のためGAINER TANAX GT-Rはドライブスルーペナルティーを受けてしまい、両者優勝争いから脱落したかのように見えました。

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ここまで淡々と走行を重ね、ピットタイミングでシンティアム・アップル・ロータスに何度かトップを奪われるも、実質トップを独走していたUPGARAGE BANDOH 86。

しかしここにも不運に見えない不運が訪れます。ちょうど折り返しともいえる83周目、シンティアム・アップル・ロータスがS字で単独スピン。後部を激しく損傷するクラッシュとなり、セイフティーカー(SC)が導入されることになります。

この時点でトップのUPGARAGE BANDOH 86が後続との間に築いた20秒ほどのアドヴァンテージが一気に帳消しとなってしまったのです。

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その後、レース中は一度も抜かれていないのに、ピットストップのタイミングでの順位の入れ替わりで順位を落としてしまうという、いかにも耐久レースな魔法に憑依され、結果的に4位でチェッカーを受けることに。

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逆にSCで前とのギャップが詰まったことで一気に浮上してきたのがSUBARU BRZ R&D SPORT。

ピットのタイミングが違うUPGARAGE BANDOH 86と、ピットごとにトップが入れ替わりますが、UPGARAGE BANDOH 86が最後のピットインをおこなう隙にトップに躍り出たSUBARU BRZ R&D SPORTは、そのまま最後までトップの座をキープ。

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2番手争いで最後までもつれあった31号車 TOYOTA PRIUS apr GTとGAINER TANAX GT-Rでしたが、ラスト2周の第2コーナーで31号車 TOYOTA PRIUS apr GTが前に出て、そのままの順位でチェッカー!

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序盤でトップ集団を形成し、142周目で7位を走っていたVivaC 86 MCがミッショントラブルで147周目にリタイアとなってしまいます。

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優勝は今季初優勝のSUBARU BRZ R&D SPORT。山内英輝選手にとってはSUPER GT初優勝となります。

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優勝には25点が加算される鈴鹿1000km。この優勝でSUBARI BRZ R&D SPORTの井口/山内組が47点として、一気にドライバーズポイントのランキングリーダーとなっています。

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序盤のコースアウトで「もうダメか」と思われていたところからの優勝は、まさに1000kmという長丁場にふさわしいドラマ。勝つもドラマ、負けるもドラマの鈴鹿1000kmは、今年も感動に溢れていました。

次戦は海外戦、10月8〜9日のタイ、チャン・インターナショナル・サーキットでの第7戦。灼熱の戦いはまだまだ続きます。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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