ひさしぶりにやってくれました! ドリフト界が生んだスーパースター、のむけん選手が富士スピードウェイで行われたD1GP第2戦で追走に進出。胸アツの追走を見せてくれたのです。
“のむけん”こと野村謙選手は、押しも押されもしないD1GPトップ選手のひとりでしたが、4、5年前からマシンのポテンシャルが後れをとり、低迷が始まりました。
その後86にマシンチェンジするもののまともに走らず、昨年はふたたびスカイライン(ただしトヨタの2JZエンジン搭載)にもどしました。
しかし、これまたマシンの熟成が進まず、本人の練習不足もあって、けっきょく去年1年間はいちども予選を通過せずに終わってしまいました。
のむけん選手はイベントのゲストやビデオの収録などで忙しく、なかなか走る機会を設けられなかったのも原因のひとつだと思われます。
ドリフトはふだんから練習できるため、一線級になっても練習量が大きくものをいうモータースポーツです。その一方、トップレベルに達すると、見せかた、走らせかたが身体に染みつくので、しばらくはそのパフォーマンスを維持できるという面もあるように思います。
のむけん選手も、全体的なスピード不足や角度不足は感じましたが、走りのリズムやメリハリは、下位のほかの選手とはちがうものを見せていました。
昨季の低迷は本人もこたえたようで、シーズンオフには引退も考えたようです。しかし、さまざまな要因がうまく組み合わさり、2016年はいい体制で迎えることができることになりました。
開幕戦こそ、できあがったばかりの車両で熟成が不十分だったため結果は残りませんでしたが、エンジンはトップレベルと遜色ないパワーを得ることができました。
そして、この富士スピードウェイでの第2戦の前には、足まわりのテストもしっかりやって臨むことができたのです。
第2戦の舞台となった富士スピードウェイの逆走コースは、走ったことのない若手選手も多くいました。そのなかで、このコースで何度も決勝に勝ち上がったことがあるのむけん選手は、走らせかたをわかっているというアドバンテージもありました。
のむけん選手は、審査席に向かってアクセル全開時間の長いドリフトで300Rをまわってくると、きっちりラインをトレースし、単走予選も単走決勝もまずまずの得点を獲得。じつに3年半ぶりに追走トーナメント進出を決めたのです。