最初に試乗したFF+クリーンディーゼルエンジンモデルの「V60 Cross Country D4 SE」は、オールシーズンタイヤを装着していることもあって、細かな凹凸まで伝えてくるなど、乗り心地がもう少し洗練されていれば、と思わされますが、決定的なマイナスポイントとはいえません。
意外だったのが、箱根ターンパイクを走らせたときで、200mmのロードクリアランスで全高も高くなっているのにコーナリング時のロールが思いのほか抑えられていて、どんなコーナーでも自在にトレースできるハンドリングのよさ。
しかも、トルクフルな2.0Lディーゼルターボエンジンは、中低速域のトルク感だけでなく、公道ならほとんど不足を抱かせないパンチ力まで披露してくれますから、スポーツワゴンに近いテイストを味合わせてくれます。
8ATのスムーズな変速に加えて、「スポーツモード」に入れると速さが増すだけでなく、パドルシフトで容易に変速が可能ですから、走りも十分に楽しめるモデルに仕上がっています。
普通に流れに乗って走る分には省燃費モードの「ECO+モード」でも十分ですから普段は燃費重視、いざという時に「スポーツモード」で楽しめばシーンを問わず頼もしい相棒になってくれそう。
居住性や積載性など、実用上はワゴンのV60でも何ら不足はないでしょうが、スキーや林道などを安心して走破したいというニーズに応えてくれるのがV60 Cross Countryといえそうです。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)