6月3日、水道橋のトヨタ東京本社にて、世界に挑戦する若手ラリードライバーを支援するプログラム「TOYOTA GAZOO Racingチャレンジプログラム」のドライバーを発表する記者会見を行いました。
選ばれたのは左から新井 大輝 (あらい ひろき)選手、勝田 貴元 (かつた たかもと)選手の2名。このプログラムへは、あらゆるカテゴリーのドライバーから総勢71名の応募があり、選考を勝ち抜いたこの2名がプログラムでの育成を経て世界へと羽ばたくラリードライバーとなることになります。
トヨタでは日常的に使う一般道を市販車をベースとしたクルマで争われるというラリーの特徴から、サーキットレースとはまた違う「クルマづくり」、「ヒトづくり」で得られものがあるとの考え方で、ラリーにも注力していくとのこと。
そして、このチャレンジプログラムでは、この取り組みに加えて、世界で活躍する日本人ラリードライバーの育成をサポートすることで、日本のラリー振興やクルマファン作りにもつなげたい、としています。
その世界で活躍できるドライバーの選考はかなりシビアであったようで、動画はフィンランドで行われた2次選考会の模様ですが、ドライビング以外にもメンタルやフィジカルも選考基準となっているようで、非常に過酷でレベルの高いものであったことが推察できます。
新井 大輝 (あらい ひろき)さんは、あの「世界の新井」ことスーパーラリードライバーで日本人初のPCWRCのチャンピオンである新井敏弘選手のご子息で、1993年8月2日生まれの現在21歳。2013年には20歳で全日本ラリーデビュー、その年のラリー北海道ではアジアパシフィック選手権で出場するなど、早くも才能を開花させています。
勝田 貴元 (かつた たかもと)さんは全日本ラリーで数々の優勝を飾るドライバーの勝田範彦選手のご子息で、元WRCラリードライバーの勝田照夫さんのお孫さんという、こちらも名門家系の出身。勝田 貴元さんは、昨年まで全日本F3選手権でレーシングドライバーとして活躍しており、2013年はシリーズ2位、2014年はシリーズ4位と、かなりの好成績を残しています。
勝田さんはサーキットレースからラリーへ完全移行するにあたり、このプログラムに応募する昨年の段階ではかなりの葛藤があったとのことですが、今は完全にラリーに集中していると語っています。
会場では選考に当たったトミ・マキネンさんのビデオレターも紹介され、マキネンさんはその中で2人について「非常にメンタルが強く、ドライビングスキルも高い」と高い評価をしています。
今後のプログラムのスケジュールは下記のようになっています。
○ヨーロッパ
6月下旬 現地トレーニング1回目
8月下旬 現地トレーニング2回目
8月27-29日 トゥルクラリー(フィンランド国内選手権)
9月24-26日 タンペレラリー(フィンランド国内選手権)
10月16-18日 ラリードルノスラスキ(ポーランド国内選手権)
ヨーロッパではトミ・マキネンレーシングのスバルWRX STIで参戦予定。
○全日本ラリー選手権
7月24-26日 第5戦 (福島) 勝田のみ
10月30-11月1日 第9戦 (新城) 新井、勝田
全日本ラリーはTOYOTA GAZOO Racingから、GRMNヴィッツ・ターボで参戦予定。
日本でも彼らの活躍を見ることができるのは、大いに期待したいところです。特に10月の新城ラリーではヨーロッパ流の走りを目の当たりに出来るかもしれません。
(写真・文:松永和浩
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