今月10日の特別ピットウォーク、11日のフリー走行からいよいよF1マシンが鈴鹿サーキットを駆け抜けるわけですが、鈴鹿サーキットといえば名ドライバー達も認めた世界屈指の難コースとして知られています。
鈴鹿サーキットに限らずサーキットコースにある縁石は皆さんご存じだと思いますが、あの赤と白のペイントはいつ、どんなタイミングで塗り替えられるか知っていますか?
鈴鹿サーキットでは鈴鹿8耐とF1日本グランプリ開催前、つまり年に2回縁石の塗り替えがされていて、今年は8耐前の7月20日、そしてF1開催に向けて10月4日に塗り替えられたそうです。
でも、なぜ縁石のペイントは「赤と白」なんでしょうか。
私も知りませんでしたが、じつはFIAの規格で定められているわけではなく、色の規定はないそうです。赤と白が古くからのスタンダードで、世界のサーキットを検索してみると確かに「赤/白」が多数派であるものの、青、緑、黄色なども見つけることができます。ちなみに素材は、FIMというオートバイの国際連盟の規格に基づいていますが、素材もF1に関する規定ではなく、鈴鹿サーキットはサンマリノから輸入しています。
どうやって塗っているかも気になりますが、鈴鹿サーキットの縁石は総延長で約1.6km(1,583m)もあり、なんとすべてローラーとハケの手塗り!
10数人がかりで行っているそうですが、1987年の第1回大会から同じ業者さんが請け負っているそうですから、経験やノウハウは活かされているはずです。
さて、そもそも縁石の役割って何? と聞かれると、知っているようでよく知らない方もいるかもしれません。
まず、縁石は当然ながらコース中全部に設置されているわけではなく、走行中にコースをはみ出しそうな場所に設置されていて、主にコーナーの中央イン側とコーナー立ち上がりのアウト側にあります。
その役割は次の2つが主なもので、
●コースをはみ出して走行した時に砂利などをコースにまかないようにするため
●コースアウトを防ぐための目印
ですが、世界の頂点であるF1になると、その縁石をいかにうまく使って走行できるかでタイムが短縮できるため、勝敗に影響を与えるほど重要な要素になります。
筆者もサーキット走行をすることがありますが、縁石の踏み方次第でタイムを縮められるなんてまさしく別世界です。
たかが縁石、されど縁石でその奥深さを筆者も学ばしていただきましたが、なんと鈴鹿サーキットの最寄り駅、伊勢鉄道「鈴鹿サーキット稲生駅」もF1に向けて「お・も・て・な・し」として、縁石風ペイントを同駅のホームや階段などに施したそうです。
これは、F1日本グランプリに向けて鈴鹿サーキットと伊勢鉄道が企画したもので、「NPO法人 鈴鹿モータースポーツ友の会」、「鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会」、「鈴鹿商工会議所青年部」をはじめとする市民有志が集まり、協力しながら実施したそうですから電車で向かう人はぜひチェックしてください!
(塚田勝弘)