新型フィットのライバルはフォルクスワーゲン・ポロだった【ホンダ・フィット試乗記01】

ディーラー試乗と商談で大盛況の新型ホンダ・フィットをようやく味見しました。1.5Lの「ハイブリッドLパッケージ」、1.5Lガソリンの「1.5X Lパッケージ」、そして1.5Lの「RS」。時間の都合で1.3Lには乗れませんでしたが、売れ筋で7割を占めるハイブリッドと1.5Lのガソリンは1時間ずつ、「RS」は試乗車が少なく30分という限られた時間でした。

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まず乗ったのはハイブリッドで、国産コンパクトカーとしては図抜けて高いボディ剛性感とホンダらしからぬ? 落ち着いた乗り味が好印象。ボディ骨格で23%に達する超ハイテン材の採用と1500MPa級のホットスタンプ材の使用が効いているのでしょうか。

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リヤダンパーの構造見直しもあり、ホンダ車の中でもとくにコンパクトカーで顕著なリヤの突き上げがかなり抑えられているは、路面状態が悪いほど好感触を感じられます。

また、センタータンクレイアウトが自慢のフィットですが、リヤが軽いぶんフロントヘビーになりがちです。結果的に後席の乗り味に影響が出てしまうところを、リヤにリチウムイオンバッテリー内蔵のIPUを積んだハイブリッド化によって前後重量バランスが改善し、ハイブリッドの安定感のある乗り心地に貢献しているように思えました。

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ハイブリッドの走りは、発進時のモーター(EV)走行時は当然静かですが、街中から高速を問わず、エンジンの出番は多め。ですが、エンジンが掛かっても振動や音はよく抑えられており、「ECON」ボタンを押したままでも首都高速入口の急勾配などでもパワー不足は抱かせません。

そのまま首都高速で追い越しを掛けるとエンジンとモーターのハイブリッド走行になり、アクセルを踏み込むと音は高まりますが、流れに乗るのであれば「ECON」モードのままでも十分ですから万人に使いやすいモードといえます。

さらに加速を望むなら「ECON」をオフにすればこと足ります。ハイブリッドにはさらに「Sモード」も用意されますが、スイッチオンするとエンジン音と加速レスポンスは確かに高まるものの、試乗ステージだった横浜の街中と首都高速では、ほとんど必要性を感じませんでした。

今回の3代目フィットは、フォルクスワーゲン・ポロをベンチマークにしたようで、燃費のアクア超えはあったにしても、国産コンパクトカーの領域を超えた走りを目指したそう。

その意味では新しいジオメトリーによる前後サスペンションと、コラムシャフトの大径化によるステアリングの剛性感向上などにより狙いはほぼ達成されている感があり、操縦安定性ではスズキ・スイフトを超えたかなという印象も受けました。少なくてもフロア剛性はフィットの方が上という印象で、とくにハイブリッドのNVHはハイレベルといえます。

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しかし、ベンチマークとしたフォルクスワーゲン・ポロは、先日ポロ・ブルーGTが登場。ポロ・ブルーGTの試乗はクローズドコースのみでしたので断定できませんが、さらに一段と洗練された走りを得ており、首都高速のような中速域でのコーナリング時の安定感、そしてステアリングの剛性感はポロ・ブルーGTが先行している印象も受けました。

とはいっても、トヨタ・ヴィッツやアクア、日産マーチやノートと比べてもしっかりしたボディとライントレース性の高さなどのハンドリングの正確性を獲得していますから、国産コンパクトカーの中では走りの面では一歩も二歩もリードしているといえます。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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