はじめにくれぐれもご理解いただきたいのですが、これはメルセデス・ベンツのCMではありません。どうもドイツの映像学校の学生がコンペティションのために製作したCM形式の映像のようです。ただ、内容のブラックさと完成度の高さで、各国で話題になっています。
アピールする内容は、自動車の危険回避機能です。舞台は1900年ごろのオーストリアのある村。村に入ってきた現代(近未来?)のメルセデス・ベンツは、道路で遊んでいる女の子ふたりを検知して、その前でちゃんと止まります。しかし、その後、凧揚げをしていて道に出てきてしまった少年を容赦なく轢き殺してしまうのです!
そして現れる字幕が「危険が発生する前に探知します」。倒れた少年にかけよる母親が叫んでいる名前は「アドルフ!」。そう、少年が轢かれたシーンをよく見るとわかるかもしれません。少年は将来ヨーロッパを震撼させる独裁者となるアドルフ・ヒトラーだったというわけです。
もし20世紀初頭にタイムスリップすることができたら、少年期のアドルフ・ヒトラーを抹殺するべきなのかどうか……。もちろんクルマのCMとしてはきわめて不適切な内容ですが、映像作品としてはなかなか興味深い問題提起をしているものだと思います。繰り返しておきますが、ダイムラー・ベンツ社はまったく関与していない映像ですからね!
(まめ蔵)