いよいよ日本に上陸を果たした7代目となる新型ゴルフは、まさに見どころ満載。まずは、やはり気になる走りからお届けしましょう。今回のプレス試乗会はまだ全国のディーラーに1台も展示車、試乗車がない状態、日本にあるのはゴルフの試乗会が開催されたゴルフ場だけだったそうです。
おろしたてピカピカ新車だったのですが、最初に乗ったゴルフTSI Highline(ハイライン)で299万円の最上位グレード。
話は少し脱線しますが、偶然にもトヨタの東富士研究所すぐ近くでのプレス試乗会ですから、思わず勘ぐってしまいました。トヨタとはいいませんが、新型ゴルフはドイツ本国のデビュー後すぐに輸入され、日本の自動車メーカーはとっくにバラバラにしている……。という話をよく耳にするからです。
まぁ、それだけ注目されている新型ゴルフですが、私が試乗した日は小林編集長が出かけた前日で、土砂降り&ガスっているという最悪の条件でした。わざわざ裾野までこの雨か! と自分の雨男ぶりを嘆きながら、しかしクルマのある一面を知るには最高の条件といえるのかもしれません。
動き出して驚いたのは、近くに研究所のあるトヨタでいえばこれはクラウンに匹敵するかも! といえる圧倒的な静粛性の高さとウルトラスムーズな乗り心地。
TSIハイラインには、オプションでDCCパッケージが用意されていますが、試乗車にも装着されていて、こちらがエンジンオンの状態で「コンフォート」モードだったためビックリさせられるような、上質な乗り味だったわけです。なお、DCCはデフォルトで特定のモードが組み込まれているわけではなく、最後にエンジンオフした際のモードでスタートします。
これを「ノーマル」にもしても「エコ」にしても基本的に高級車そのものの上質さは失われません。「スポーツ」にすると、パワステの手応えがグッと増し、足の動きも一段と引き締まりますが、ボディの剛性感もCセグメントとは思えない高さですから、ボディはミシリともしません。
先代よりもやや軽くなったのはボディだけでなく、パワートレーンにも軽快感があります。1.4LのTSIエンジンと7速DSGは、一段と熟成が進み驚くほどスムーズに吹け上がりますし、無理にアラを探せば7速DSGの弱みといえた低速域のギクシャク感は完全に払拭されているのも朗報です。
そして、注目の気筒休止システム「ACT/アクティブシリンダーマネジメント」は、1250〜4000rpm時で最大85Nmの発生トルク内、つまり低負荷時やアクセルを戻した際に、4気筒のうち2気筒を休止して燃費を稼ぐものですが、その作動はメーター表示を見ないとまったく分からない自然なもの。しかも踏めば瞬時に全気筒が動きますから、パワー面にはなんら心配はありません。
雨のハイスピードクルージングでも万全のスタビリティと、GTカーのような走りを披露してくれた新型ゴルフTSIハイラインは、その完成度の高さではCセグメントではライバル不在といえます。
(塚田勝弘)