都市部をはじめ、郊外でも意外と狭い道路が多く存在する日本では、小回りの利く軽自動車が重宝されている地域も多く存在します。さらに、普段の移動や買い物などでは1人で乗ることが多い方にはスマート・フォーツーやトヨタ・IQなど、軽自動車よりもさらに小さい超コンパクトカーが注目されています。
この超コンパクトカー、国内外でも既に数多く存在しており、今回はスクーター感覚で使える超コンパクトカーをご紹介します。
■タケオカ自動車工業 ミリューR
全長2150mm全幅1140mm全高1350Mmという小さなボディに定格出力600Wの直流分巻ブラシモーターを装備した電気自動車で、重量はわずか295kgという軽さを誇ります。回生ブレーキも備える本格派のEVで、オプションで暖房も装備することが可能です。ミリューRを生産するタケオカ自動車では、アビーという同じボディのガソリンエンジン仕様もありますが、実はこちらはかなり古くから存在しており、街中でも見かけたことがある方もいるのではないでしょうか?
魅力は何と言っても80万円を切るお手頃価格。さらにキャビンが完全に覆われている構造となっているので雨の日のお買い物などにも活躍しそうですね。
■トヨタ COMS(コムス)
すでにセブンイレブンで宅配事業に使用されているトヨタの1人乗りEV。ビジネス向けのB-COMのほか、個人ユース向けのP-COMも存在します。COMSの中でも最小サイズとなるのがB-COM デリバリー。全長2395mm、全幅1095mm、全高1495mmとなっており、重量は420kg。ミリューRと比べるとドアが無いため、雨天や冬場がきついように見えますが、オプションでキャンバスドアも用意されており、開発に当たっては雪道などでのテストも行われているほか、シートポジションやステアリングなどは乗用車に近く、はじめてコムスに乗る人にも配慮されています。価格は66万8000~と、ミリューRよりもさらにリーズナブルなプライスとなっているのが魅力といえます。
■Volpe
イタリアのザガートとRomano Artioliさんというデザイナーが共同で開発しているEVがVolpe。全幅はたったの1m!全高1500mm、重さ350キロというコンパクトさでありながら、完全にキャビンが覆われたスタイル。さらにこのコンパクトなボディで乗車定員は2名。そしてそのコンパクトさに加えVolpeの魅力といえるのはその凝ったデザイン。ザガート社とデザイナーが手を組んでるだけあり、超コンパクトカーでありながら流麗なスタイルとなっています。全幅1000mmのボディに乗り降りするためのドアはカウンタックも真っ青なガルウィングドア!超コンパクトカーでもスタイリングにこだわるイタリアらしいクルマといえます。
■ピール P50
イギリス発の人気自動車番組TopGearでも取り上げられ、その驚きの小ささが話題を呼んだのがピールP50。1962年から1965年まで生産された元祖超コンパクトカーは、今なおトップレベルの小ささを誇ります。サイズは全長1370mm、全幅410mmで重量はたったの54kg。バックギヤを備えていませんが、後部に取り付けられた取っ手により、キャスター付きのバッグのように運ぶ事も可能です。今から半世紀近くも前に生産が終了しているピールP50ですが、復活を望む声をうけ、限定生産されました。当時のモデルは2ストローク49ccのエンジンでしたが、現代によみがえったP50は、ボディは当時のままのスタイリングで、パワーユニットを4ストロークエンジンとEVの2種類で復活しました。
価格は約100万円と、国産の超コンパクトカーと比べると若干高額ではありますが、その愛らしいスタイルと50cm足らずの超コンパクトサイズがウケているようです。このサイズなら停める場所にも困ることは無さそうですね。
■P45
ピールP50を紹介したTopGearでは、P50よりさらにコンパクトなP45を番組で制作。その外観はクルマと呼べるのか微妙ですが、しっかり4輪のタイヤと灯火類が装備されています。クルマに乗るというより、着るといった表現が合いそうな感じです。身体はカウルの様なもので保護されていますが、腕の部分が露出しているので、冬場や雨天ではきつそうですね。
P45はEV走行のほか、緊急時にはガソリンエンジンで走行することも可能であり、バッテリーを気にせず走れるところが魅力といえます。
今回ご紹介した5台はいずれもEVであり、地球環境に配慮した次世代の乗り物といえるでしょう。自転車やバイクが好きな人には風を感じて走ることが魅力であり、楽しみのひとつという方がおおいようですが、日常の買い物ではやはり雨天の日などは移動を苦痛と思う方も多いのではないでしょうか?駐車場所や環境性能の有利な超コンパクトカーなら天候を気にせず出かけることが可能であり、価格次第ではセカンドカーや自転車、バイクの代わりとして普及していくのではないでしょうか?
(井元 貴幸)