「童夢が東レにカーボン・マジック社売却」と経済ニュースで終らせない林みのる氏のぶっちゃけコメントが話題に!

炭素繊維複合材料、つまりカーボン素材の拡大を図っている東レが、童夢が展開するカーボン事業のカーボン・マジック社を買収するというニュースが昨日流れました。新会社は「東レ・カーボンマジック」になる予定で、合わせて童夢グループのタイ生産子会社であるの株式も75%取得し、子会社化するという内容です。

11C572_06※写真はダイムラー社のCFRPで、本文とは直接関係ありません

東レは航空機部門だけでなく、ダイムラー社とCFRPの合弁会社を設立し、メルセデス・ベンツ各モデルの軽量化や材料置換を進めていますが、さらにその流れを強化する買収といえるでしょう。

しかし、すごいのは童夢からのリリースで、以下は引用です。

「まず前提条件として、私自身は恋い焦がれるようにレーシングカー造りに没頭してきましたから全く悔いは無いものの、この国で、世間から必要ともされないし評価もされない、仕事はほとんど海外に流れる、いつまで経っても持ち出しが続く、その上、金だけはやたら必要な、とても事業とも言い難いようなレー シングカー・コンストラクターを生業とする会社を存続させる必要も意義も意味も無いと思っていますし、たぶん、こんな馬鹿げた会社を引き継ぎたいと思うような奇特な人も居ないと思いますから、「童夢の将来」については全くビジョンを持っていません。
だから私は、70の声を聞く3年間で完全にリタイアしようと思っていますし、その後の童夢についてもノーアイデアですが、では、なぜ?あと3年間かと言うと、私には、どうしてもやりたい事がもう一つだけ残っているからです。

もともと童夢カーボン・マジックはルマン等のレース資金を捻出することを目的に設立した会社ですが、そのためには企業としての成長/発展が不可欠ですから、放蕩三昧の童夢には内包せず子会社として切り離した形で健全な育成を心がけてきました。
おかげで事業としては期待以上に成長してきたものの、実際のところ、年間に調達できるレース資金は、童夢から捻出する資金と合わせても2~3年に一回、ルマンに参加するのが精いっぱいと言うレベルでした。
つまり、このままでは私は切りつめた予算でもう一回ルマンに挑戦して引退となる訳ですが、もうルマンは17回も挑戦してきましたし、この程度の予算でもう一回チャレンジしたところで今までと同じことの繰り返しにしか過ぎませんから、もう充分と言う感じですし、私が最後にどうしてもやっておきたいことはルマンではありません。」

「しかし、その為には、もう少し大きな予算が必要なのですが、日本国じゃあるまいし、あと3年で引退する私が莫大な借金を残す訳にもいかないので、今までの資金源であった童夢カーボン・マジックを売却し、その売却益を投入して私の最後のお遊びに使い果たそうと考えた訳です。
加えて童夢では、過去において待遇改善などに関しての労使交渉など一度もありませんでしたが、それは私が、本気で「給料まで払ってレーシングカーを造らせてやっている」と思い込んでいるからであり、基本、趣味の同好会ですから「あー、面白かった!」で済みますが、そんな童夢とは違って、童夢カーボン・マ ジックは技術的にも経営的にも立派な企業に育ってくれましたし優れた人材も育っていますから洋々たる将来も期待できます。
私も、そんな鳶が鷹を生んだようなまともな童夢カーボン・マジックを3年で放り出すのはやや無責任であり、もったいないとも思っていましたので、ここだけは良い形で将来に繋ぐ手立てを考えていたところ、東レさんとの話が浮上してきたので、童夢カーボン・マジックの未来を託すことにした次第です。これからも、童夢と新会社となる童夢カーボン・マジックは、従来どおりの協力関係を維持しながら技術的な相乗効果を高めていきたいと考えていますし、3年後にリタイアするのは私だけで、それは童夢の終焉とはイコールではありませんが、そのあたりは流れに任せたいと思っていま す。
いずれにしても、私はこの3年間に思いっきり自由な車造りを楽しんで、「あー、楽しい人生だった」と満たされた気持ちでリタイアする予定ですのであしからず。」

林オーナーは、2015年度の完成を目指して公道走行可能なスポーツカー「ロードゴーイング スポーツカー」に残り3年の現役生活をかけるそうです。しかし、もとより事業としては考えていないようで、ただし、スポーツカーである以上は公道を走れないと意味がないため、「童夢-零」のリベンジも期して正規の方法でナンバーの取得を目指すそうです。

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童夢-零
童夢-零
童夢-零
童夢-零

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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