2013年3月5日~17日までの間、ジュネーブで開催中のモーターショー会場を華やかに彩るフェラーリなどの超高級スポーツカーや欧州自動車メーカー出展のショーカーたち。
世界への情報発信の場だけに、各社がアピールに力を入れている訳ですが、以前からお伝えしているとおり、欧州に於ける新車販売は現在も楽観できる状態とは程遠いようで、大手自動車メーカーはかなり深刻な販売予測を立てている模様。
ロイターが伝えるところによると、ジュネーブショー会場で各自動車メーカー首脳は「欧州各国が債務削減へ緊縮策を推し進める中、自動車市場の状況がここ数カ月間で悪化しており、需要は少なくとも5年間に渡って振るわない状態が続く」との見通しを示していると言います。
・ダイムラー ディーター・ツェッチェCEO
「欧州市場は3カ月前に想定していた状況にない」
・BMW ノルベルト・ライトホーファーCEO
「欧州の問題は主に債務に関係しており、
少なくともあと5年間続くだろう」
またウォール・ストリート・ジャーナルによると、
・GM スティーブン・ガースキー副会長
「経済環境は依然として厳しい。
年初にいくぶん改善がみられると 予測していたがまだ無い。
いずれこの状況は下げ止まりすると思うが、 1-3月期には無い」
・クライスラー マイク・マンリー国際責任者
「2013年度中の回復は無い。今年は本当に厳しい
1年になるだろう」
・ルノー カルロス・ゴーンCEO
「向こう3年で欧州市場が上向くと予想する人はいない。
問題は悪くなるか、 あるいは極めて悪くなるかだ」
といった具合で、かなり厳しい販売予測となっています。
実際、ドイツの2月の新車販売でも前年同月比-10%減といった状況で、欧州自動車工業会(ACEA)が発表した本年1月度の欧州新車販売データを纏めると以下のようになります。
上表のとおり欧州の2013年1月の新車販売台数は前年同期比-8.5%減の約92万台に留まっており、中でも11.3万台でトップを走るVWも同-12.2%、傘下のAudiが5万台(同-2.1%)、シュコダが3.7万台(同-2.0%)、セアトが2万台(同+4.9%)といった状況。
ダイムラーとBMWを除き、軒並み前年比でマイナス状態が目立ち、日本勢のトヨタや日産も欧州では同様に苦戦を強いられている模様。
2012年度に続き、まだまだ明るさが見えない欧州市場が要因となって、世界販売の主力は今では米国やアジア方面にすっかりシフトしてしまったと言っても過言では無さそうです。
最近はVWやメルセデス・ベンツ、Volvoなどが新型モデルを魅力的な価格でいち早く日本へ投入して来る傾向が見られることからも、こうした地元事情が垣間見えます。
日本では欧州車の価格が米国向け価格に比べて割高な状態が長らく続いて来た訳ですが、今後はこうした傾向もそろそろ見直されることになるかもしれません。
〔関連記事〕
・経済低迷で深刻さを増す欧州カーメーカーが目指す活路とは?
https://clicccar.com/2012/09/20/199130/
・欧米に於ける2012年度の日本車販売番付はこうなっている !
https://clicccar.com/2013/01/24/211456/
・財政再建で揺れる米国で今後の日本車販売はどうなる ?
https://clicccar.com/2013/03/05/214388/
■ジュネーブモーターショー2013 Webサイト
http://www.salon-auto.ch/en/index.php
【写真ギャラリーをご覧になりたい方はこちら】https://clicccar.com/?p=215016