ネット上ではもうけっこう話題になっているので、ご覧になったかたも多いかもしれません。あの元イングランド代表MF、デイビッド・ベッカムがパンツ1枚でビバリーヒルズを走りまわるCMです。
もちろん、H&Mは若い女性に人気のブランドだし、超イケメン選手の“ベッカム様”が30代後半にもかかわらず引き締まった裸体を見せるということで話題になっていますが、自動車ライターで、かつサッカーファンの私としては、ちがうところが気になりました。それは、ベッカムのガウンを持って行ってしまったのが、なぜレンジ・ローバーなのか?
場所はビバリー・ヒルズ(ベッカムは今季までロサンゼルス・ギャラクシーでプレー)なのにアメ車ではなくイギリス車です。もちろんビバリー・ヒルズだったらレンジ・ローバーだって走っているでしょう。でも、これはイギリスを離れて久しいベッカムに対する、イングランドのサッカーファンの思いが込められているのではないでしょうか?
マンチェスター・ユナイテッドを象徴するプレーヤーだったベッカムは、スペインのレアル・マドリッドに移籍して以来、ずっとイギリス国外のチームでプレーしています。イングランド代表にも呼ばれることはなくなり、希望していたロンドン・オリンピックへのオーバーエイジ枠での出場もかないませんでした。
選手生活も晩年にさしかかってきたベッカムが、もう一度自国でプレーするところを見たいと思うイングランドのファンの思いが、レンジローバーでベッカムのガウンを奪ったのではないでしょうか? そして、それを追いかけるベッカムの姿で、ベッカムのイングランドに対する思いを表現したいと思ったのではないでしょうか?
そう、このCMを監督したガイ・リッチーも、なにをかくそうイングランド人なのです。
そんなことを書いてから、ふとウィキペディアでガイ・リッチーの項目を見てみると……『チェルシーFCのファン』。あれ?これはベッカムの敵?味方?えーっと、わからなくなりました。