いつも何気なく給油しているクルマのガソリン。でもそのガソリン、どこから来てるか考えたことはありますか? 石油が遠い異国から大型タンカーで運ばれてくるのは誰もが知っていますが、どの国からどのくらい輸入しているのか意識することってないですよね。
石油は日本でも新潟県と秋田県で細々と採掘されていますがその量はごく僅かで、ほぼ100%近くを輸入に頼っているのが現状。そのうち実に85%を中東の国々に依存しています。これは2011年度の例で、多いときはそれ以上の比率になることもあります。さらに中東の中でもサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、イラン、クウェートの5ヵ国が90%以上を占めます。つまりこれらの国々のうち、どこか1ヵ国でも調達に支障が出ると日本はダメージを被る可能性があるわけです。なぜイランへの経済制裁が大きなニュースとして取り上げられるのか、その理由がよくわかりますね。
実際、イランからの原油輸入量は2012年4月から徐々に減り続けていて、5月には前年同月比で半分ほどになっています。減った分は他国からの調達でまかなわれているので当面の支障はありませんが、この問題が長引くと石油製品の値上がりなど影響が出るかもしれません。しかしイラン問題でより気がかりなのは、何といってもホルムズ海峡の封鎖です。
そもそもホルムズ海峡ってドコ? なんて人のために地図で示します。この海峡はイランとUAE、オマーンの間にある幅50kmほどのシケインのような場所ながら、海峡の西側に主な中東産油国の石油積み出し基地があり、日本を始めとする東アジアにタンカーで石油を運ぶには「ここを通るしかない!」という恐るべき急所になっています。この海峡を封鎖されると日本の生命線ともいえるオイルロードが断たれてしまい、9割近くの石油が入らなくなります。だからこそ、経済制裁に対抗して封鎖をちらつかせるイランを牽制するべく、アメリカが空母を送り込むなど大騒ぎになっているのです。
現在、日本国内に備蓄されている石油は約200日分あり、万一の事態でもただちに石油不足になることはありません。しかし有事になればガソリンを始め石油製品の値上がりは必至、日本中が大パニックになる恐れがあります。
「まさか、そんなことは…」なんて言ってる場合じゃありません。イラン国内では経済制裁の影響により、すでに市民生活が困窮するなど深刻な影響が出ています。このままでは海峡封鎖が現実になる恐れも十分にあるのです。
はるか彼方の異国のいざこざながら、イラン問題は私たちの日常生活やカーライフに直結していることを強く意識しておきたいものです。
■石油連盟公式サイト(各種統計資料はこちらまで)
http://www.paj.gr.jp/
(まるほ商会)