ところでグループR4ってなに?【スバル・インプレッサWRX STIグループR4マシンのすべて】

IRC(インターコンチネンタルラリーチャレンジ)に参戦する新井敏弘選手がドライブするインプレッサは、FIA(国際自動車連盟)グループR4規定で製作されています。

ところで、このグループR4規定って一体何なのでしょうか?

もともとIRCのトップクラスマシンはグループN4クラスとスーパー2000(S2000)クラスのマシンが出場していました。

グループNマシンは、FIA規定では連続する12ヵ月間に2500台以上製造された定員4名以上の市販乗用車をベースとし、安全装備など最低限の改造のみが許された、いわゆる市販車無改造車クラスと呼ばれている車です。厳密には排気量によってN1〜4までクラス分けされていますが、排気量2リッター以上のエンジン搭載車が参加するN4クラスが最強クラスとなります。ちなみにターボ車は1.7倍の係数をかけますので2リッターターボ車もN4クラスとなります。

写真は2010年のWRCラリージャパンの時のスバル・インプレッサグループN仕様車ですが、ご覧の様に外観は市販車とほとんど変わりません。グループNではエアロパーツを含めた外観、エンジン、補機類、ターボなどの補機類、インタークーラー、駆動方式、サスペンションの形状などを変更することができませんので、市販車で十分な戦闘力を持たせる必要がありました。その結果グループNで戦闘力のある市販車は今やスバル・インプレッサと三菱ランサーエボリューションだけになってしまいました。

一方2輪駆動の市販乗用車をベースとし、4WD化したのがS2000マシンです。エンジンは当初排気量2,000ccのNAエンジンを搭載し、現在は1,600ccターボエンジンも登場しています。

写真は2010年WRCラリージャパンを走ったフォード・フィエスタ。

エンジンパワー的にはグループNの2,000ccターボに劣る気がしますが、実際はエンジンもレーシングチューンされ、サスペンションやボディもキットパーツを使用して改造することができ、さらに外板パーツの薄板化も許されているため、性能は市販車とかけ離れていて、戦闘力はグループNマシンを凌駕しています。

そこで、グループNマシンの戦闘力を引き上げてS2000に近い性能を発揮させるためにグループR4マシンが設定されました。つまり外観やエンジン、駆動系などはグループN規定車と同様ですが、性能を向上させるために軽量化とサスペンション性能の向上、そして冷却性の向上を図るためのキットパーツを装着したのがグループR4マシンということになります。

グループR4キットの主な目的は軽量化とサスペンションの追従性能向上、そして冷却性能向上となっていまして、STIはグループNインプレッサと比較して50kg以上の軽量化と、1kmあたりのタイムを1秒短縮することを目標にキットの開発を行ったそうです。

グループR4マシンの外観です。

ボンネットフードに開口部が設けられているほか、サイドウインドウも交換されていることがわかりますが、それ以外はグループN車同様市販車と変わりません。

エンジンも市販のEJ20ターボがベース。スペックCのボールベアリングターボを装着していますが、吸気制限のためΦ33mmのリストリクターが装着されています。

コクピットもグループNマシンと大きな違いはありません。ちなみに新井敏弘選手のインプレッサは左ハンドル仕様なのが大きな特徴となっています。

サイドブレーキレバーが、操作しやすい形状に変更されていますね。Siドライブのセレクター位置の上に移設。またコ・ドライバー側にもモニタが設置されているほか、ホーンやワイパーのペダルボタンを設置。

左足ブレーキをやりやすくするためにブレーキペダルが大型化されています。

インタークーラーウォータースプレイ用の水タンクはフロア中央部に移設されました。

ガソリンはここから給油するそうです。

グループR4マシンとS2000マシンでは安全性を向上させるため、ドアにインパクトフォームの装着が義務づけられたので、キットパーツが用意されました。

ドアのトリムはカーボン製のキットを用意。

またヘッドプロテクションフォームの装着義務もありますのでこちらもキットで用意されています。

ターマック用のホイールは最大リム幅8インチ×直径18インチ以内、最低重量は8.9kgと規定されています。

ちなみにグラベル用は最大幅7インチ×直径15インチ、最低重量8.6kgとなっています。

ブレーキはエンドレス製のモノブロック対向キャリパーを装着。

インプレッサR4のサイドビューです。

サイドウインドウとリアウインドウはガラスではなくR4キットのポリカーボネート製に交換されて軽量化されています。窓だけでも7.12kg軽量化されているのですが、もちろんそれだけではありませんよ。

次回はその驚異的な軽量化策をご紹介しましょう。

(ぬまっち)

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