燃費や運動性向上のために求められるのが軽量化。加えてEVやハイブリッドは重たいバッテリーを積むため、軽量化はますます重要な要件となっています。しかし単純に素材を薄くするわけにはいきません。一般的に板圧を30%薄くすると剛性は1/3(34%程度)まで低下すると言われていて、別の素材を使うことになります。
しかし鉄から比べるとアルミやチタン、カーボンといった素材は高価であり、軽量化=高コスト。安全性と軽量化のために高価な素材を使うため、車両価格に反映されてしまいます。
しかし、深井製作所が開発し特許を取得したエンボス加工「エンブレラ」は、金属に特殊なエンボス形状を施すことで、30%薄い材料でも元の厚さとほぼ同等の剛性を維持。つまり材料も変更せず性能も犠牲にせず、30%軽量化(コスト減)できるというわけです。
加工前加工後、複数の板圧をさわらせていただきましたが、薄く軽くなっているのに剛性が高いのが印象的。しかもその剛性は特定の方向ではなく全体に確保されていました。
すでに現行スズキ・スイフト(4WD)の燃料タンク遮熱板に使われているほか、2011年にニュル24時間耐久レースでクラス優勝を遂げたインプレッサにも使用されています。また、車種やメーカーは教えてもらえませんでしたが、これから発売される車種に採用が決まっているそうです。
ちなみに試作のブレーキ泥よけも、同じ強度とすると、ノーマルのスチール製が0.53kg、エンブレラ付きが0.39kg、さらにアルミニウム合金のエンブレラ付きですと0.18kgにできるとか。
新素材も魅力的ですが、まだまだいろいろな創意工夫で進化できるという証明だと感じました。
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(佐藤みきお)