10月26日三栄書房から発売予定、「80年代国産車のすべて」を編集するかたわら、ちょっと話をリークして書いています。これは80年代のすべてシリーズをまとめたもので、新規の撮影なども行っています。なかでも「トヨタ・ソアラのすべて」はすべてシリーズの創刊号でした。創刊から取材に携わった星島浩さんの記述は、そうだったのか! と思わせられることが満載でした。80年代といってもその10年は濃密で、それらのエッセンスを取りだすことは至難の業ですが、この10年を楽しく見られる一冊にできればいいなと考えています。
初代ソアラが登場したのは1981年2月27日のことでした。カタログを開くと1ページ目には非常に印象的な一言がかかれています。
「このクルマのポテンシャルはすべてのクルマの進化のために。」
他のメーカーの人たちが見たら、何を偉そうに!! と憤慨するところかもしれませんが、それ以前にトヨタはセリカで79年に「名ばかりのGTは道をあける」というコピーを使い、5代目スカイラインGTのアンダーパワーを暗に示しているんじゃないかと言われました。対する日産は、同年解禁されたターボをセドリックが搭載。そして翌年にはスカイラインGTターボが登場してゼロヨンで16秒台前半へ.といったようにターボエンジンをめぐるパワーウォーズの口火を切る出来事が勃発するわけですが、そのなかでターボにあまり肯定的ではなかったトヨタが、ノンターボ大排気量DOHCエンジンをひっさげてソアラを登場させたのです。
その後の歴史を見れば明らかなように、いずれにしても他メーカーの人たちは憤慨しながらも、初代ソアラがベンチーマークせざるを得なくなったのは間違いなく、すべてのクルマの進化を早めるきっかけのひとつになったことは事実だったといっていいでしょう。
そんな初代ソアラですが、今見てもこの伸びやかな形は非常に魅力的です。当時としておきて破りだったのが前後の絞り込みで、フロントエンドは左右で全幅より3cmずつ絞っていたとのことです.当時は大きく見せるために絞らないのが普通でしたが、(当時の理論として)空力性能を高めることやパーソナルカーとしてのカタチを追求していったカタチがこうして実現したということです。トヨタではこれ以前に前後を絞ったのは、カローラくらいでした。カローラの狙いはなんとキャビンを大きく見せるためだったとのことです。タイヤサイズは195/70HR14! 隔世の感があります。
他にもいろいろ書きたいのですが、ちょっと書いている時間がなくなってしまいました。この続きは10月26日に発売される本誌で! なんて番宣みたいですが、とりあえずソアラの写真をいくつか上げておきましたので、時間があったら見てください。なんとそこには吉田由美さんの姿もあります。すべてシリーズの「使い勝手徹底チェック」が定例化したのは、もっと後。それに初代のアシスタントは赤坂やよいさんで、由美さんはまだまだずっと後からの登場です。じゃあなぜここにいるんでしょうね?
(MATSUNAGA, Hironobu Photo:前田惠介 & MPS)
※写真は掲載検討用です。すべてが掲載されるものではありません