マツダデミオのSKYACTIVが4-2-1エキマニじゃないのに30km/L達成した秘密とは?

新世代エンジン「SKYACTIV-G 1.3」を搭載することで、モーターという電気アシストなしで30km/lを達成した新しいデミオ。これまで30km/lの大台はハイブリッド車だけの聖域と考えられていましたから、純粋なガソリン・エンジン車での達成は快挙と言っていいでしょう。

そして、この大台突破実現の大きな理由が、1.4もの世界一の高圧縮比を実現した新世代エンジン「SKYACTIV-G 1.3」にあります。しかし、このエンジン、まだ完成形ではありません。マツダが産み出したSKYACTIVテクノロジーには、さらなる隠し球があるのです。

これまで僕はマツダの高圧縮実現の理由をいろいろと取材してきました。その技術にはキャビティ付きピストンや直噴技術、ボア×ストロークのロング化、バルブ機構の可変技術などがありました。その中で、最も効果的であったと聞いていたのが4-2-1のエキゾーストマニホールドだったのです。これは排気経路を長くすることで熱い排気ガスが吹き戻るのを防止するのが狙いでした。ちなみにエキマニを長くすると、トルクがアップするのはチューニング業界の常識。SKYACTIVテクノロジーでも、そういう狙いがあるようです。

ところが、今回のデミオはスペースの関係上、4-2-1のエキマニを採用できませんでした。この情報は前々から聞いていて「それなのに30km/lが目標! って宣言しちゃったけど大丈夫なの?」と心配というか不思議に思っていたのです。

ところがフタを開けてみれば記録達成。その理由は? とよく見てみれば…、な~んだEGRクーラーの採用だったんですね。これまでのSKYACTIVテクノロジーの資料には、ほとんど顔を見せなかったもの。とはいえEGRクーラー自体はポピュラーなものです。排気ガスを冷やして、もう一度エンジンに引き込んで燃やす技術。これを行うと燃焼室の温度が下がってノッキング発生を抑制するので、圧縮比を上げるのにも効果が出るのです。

また、今回のデミオで「SKYACTIV-G 1.3」に組み合わせるミッションはCVTになります。これもポイントだったとか。つまり、トルクが少々細くてもCVTがカバーしてくれます。本来のSKYACTIVテクノロジーである4-2-1のエキマニであれば、圧縮比を上げるだけでなくトルクアップ効果も望めました。しかし、今回はCVTがあるので、4-2-1エキマニがなくとも走りの質を落とさずに済むという判断があったようです。

とにかく、そういう具合に、あちらこちらを調整しながらの30km/lの記録達成だったわけです。ということは、4-2-1エキマニをはじめとするエンジン技術だけでなく、ミッションや車体系まで含めた、SKYACTIVテクノロジーのすべてを搭載する「フル・スカイアクティブ」(ライター仲間と勝手に使っている通称です)には、伸びシロがまだまだあることを意味します。

ハイブリッドなしで、どこまで燃費を向上させるのか? SKYACTIVテクノロジーから目が離せませんね!

マツダのSKYACTIVの公式サイトはこちら>>

http://www.mazda.co.jp/skyactiv/?link_id=ne

<鈴木ケンイチ>

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