キュートなスタイリングにより、日本でもヒットモデルとなったフィアット500に、875ccの直列2気筒ターボエンジンが導入されました。フォルクスワーゲンなどでエンジンの小排気量化は進んでいますが、一気に875ccの2気筒までダウンサイズしたのには驚きました。
ツインエアと呼ばれる新開発の2気筒エンジンは従来の上級グレードに設定されていた1.4リットルの直4に代わるもので、85PS/14.8㎏-mを発揮。今までの1.4リットルが100PS/13.4kg-mだったので、最高出力に関しては1.4リットルよりも劣りますが、最大トルクにはツインエアのほうが勝っています。
実際に走らせてみても2000回転付近からトルクが太くなり、速度が乗ってしまえば力不足を感じさせることはありません。ただし、2気筒が同時ストロークするので発進直後からの加速中は振動が大きく、ノイズもそれなりに大きめ。まぁ、昔のチンクエチェントも空冷2気筒だったので、この振動もチンクエチェント独特の味と言えなくもないのですが、それが理解できないと、ちょっと騒々しく感じるかもしれません。
そして、いいことはたくさんあります。10・15モード燃費は従来の1.4リットルは13.8㎞/Lでしたが、一気に21.8㎞/Lまで向上しています。ギヤ比が最適化されたことに加えて、低回転型のターボエンジンになり、高回転まで回す必要がなくなったのでMTの機構をベースとしたAT(デュアルロジック)の変速時のタイムラグも大幅に緩和されています。
価格もツインエア ポップが215万円、ツインエア ラウンジが245万円と少し安くなっています。発売はちょっと遅れますがソフトトップの500Cツインエア ラウンジも用意されています。
一気に2気筒にダウンサイズするなんて、やっぱりフィアットのクルマは面白いですね。次は、もっとブーストをかけて、排気量を500ccにしてくれることを望みます。
(岡島裕二)
【訂正】(3月28日)
「同時爆発」を「同時ストローク」に修正いたしました。フィアット500ツインエアの2気筒エンジンはクランク位相は同じで、爆発は交互に行われます。訂正してお詫び申し上げます。