Dセグメントというから、Xタイプなどのクラスを前提にした、ベルトーネが提案するジャガーのためのコンセプトモデルです。同じようなカテゴリーではメルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズなどが上げられます。
この“B99”の意味するところは、Bはイタリアのカロッツエリアであるベルトーネ(Bertone)の頭文字で、2012年に創業100年となることから、その1年前、99年目のモデルとして名づけられました。一見、2ドアハードトップに見えるのですが、両開き式の小さなリアドアを持つ4ドアなのです。
それにしても最大の特徴となるのは、その伸びやかなスタイリングにあるでしょう。
1968年に登場したXJシリーズは現在でも4ドアとして復活していますが、2ドアクーペがあったことはあまり知られていません。伸びやかなボンネットとトランクリッドを持ち、小さなキャビンが特徴です。リヤオーバーハングの長さが、優雅さを強調しているクルマでもありました。
ジャガーXJ6クーペ(シリーズ2)
このモデルはそんなXJクーペの印象を多く受け継いでいるようですね。あの当時を知る人にとっては非常に懐かしく、また現在のセダンのデザインを見慣れてしまっている人たちにとっては、ちょっと新鮮に映るかもしれませんね。
ただ、個人的な感想を添えるならば、まだ強い印象がありすぎかもしれません。もう少しタイヤの存在感を弱めるように、タイヤを細くしたり、リヤのホイールアーチを小さくしてややタイヤ上端を隠すなどしたほうがいいのかな、なんて思います。それは一例ですが、クーペは力強さをあらわすだけでなく、どこかに華奢(きゃしゃ)な印象を持っているほうが、女性っぽいエレガンスさが表現できるのではないでしょうか? これとは別でしょうが、ジャガーはXJをベースにクーペを投入するという話も出ています。このモデルがちょっと影響を与えてくれるといいですね。
(MATSUNAGA, Hironobu)