2010年に最も気になったクルマを選ぶとすれば・・・ずばりタント・エグゼです。

やはりこれからの日本のクルマの主流はこっちになるんじゃないかなー。と感じさせるのは軽自動車の市場です。もはや多くの軽自動車は4人乗りとしては必要にして十分以上の広さを持っているといっても過言ではないでしょう。このエグゼは、実用プラスアフファの上質さという点で、まさにそのような思いを強くさせられます。

アメリカにピックアップ(個人ユースのトラック)があり、イタリアやフランス、イギリスなどにスモールカーがあるように、日本の軽自動車は世界でも独自のものです。これらはその国の文化に根付いているもので、その地の生活から必然として生まれてきたものです。ただ軽自動車全体として、安定性や安全性など登録車と開きのある問題がないわけではありませんが、それらについてはまた別の機会に書かせてください。

ところでこのエグゼですが、タントという名前はもっていますが派生車種と考えるとちょっと違います。タントが若い家族の実用車=2LDKくらいの家だとすると、エグゼは同じ面積ながら1LDKというイメージです。完全に実用だけでなく、ゆったりと過ごせる空間なのです。ですからユーザーも、ヤングファミリーではなく登録車からのダウンサイジングを希望する子離れ層や、若い独身層などになるようです。

最大の違いは、リヤドアがタントのスライド式からスゥィング式になる点です。エグゼではそれほどの大がかりな構造が必要ないことと、スゥィング式ドアではドア内側のひじかけなどの造形をしっかりと造り込めるので、エグゼの狙いにはあっているのです。そしてさらにタント930~920kgあった重量モエグゼでは870kgに抑えられています。ここにもスゥィング式ドアを採用した恩恵が表れています。また空力特性も意識して全高はタントより20mm低い1730mm、Aピラーも傾斜させています。

室内はこのモデルの最大の見せ場で、とくにリヤシートのゆったりとしたつくりは、上質なラウンジを想像させます。また軽自動車は法規で4人しか乗れないため、リヤシートは完全に2人用と割り切って作ることができています。これは登録車のリヤシートは欲を出して3人乗せたくなるので、なかなかデザイン的にも割り切れないところ。これをきっぱりとできてしまうのは、軽自動車の特権と言ってしまっていいでしょう。そのためエグゼでは、左右をしっかりとホールドしやすいシートが採用されているのです。

 

なんかこれで十分じゃないですか…っていうところから始めなおしませんか?

(MATSUNAGA, Hironobu)