ローン残債があるクルマを売るにはどうすればいい?少しでも高く売るには?

クルマを買う時、大半の人がローンを使って購入しているでしょう。クルマを売る時に完済していれば問題ありませんが、ローンが残っている場合はこんな疑問を抱きませんか?

  • ローン支払い中だけどクルマ売ることってできるの?
  • ローン中のクルマを売るとき、どんな手続が必要になる?
  • 次のクルマのローンに、今のクルマのローンを上乗せすることはできる?

ローン返済中のクルマは、所有者がローン会社になっていることが多いため、自分のクルマのように自由に売却ができません。しかし、きちんと契約の仕組みを理解して、必要な書類を用意すれば問題ありません。

またローンの残り分以上の金額で売却ができれば、すべての問題はカンタンに解決してしまいます。そこで本記事では、ローンが残っているクルマを売却する方法をわかりやすくご紹介します。少しでも高く売る方法もご紹介しているので、ローン残債以上で売却したい人は必見です。

ローンが残っているクルマでも売れる

ローンがあってもクルマは売れる
ローンが残っているクルマでも売ることができます。クルマを買う人の多くがローンを利用するため、買取店もローン中の車買取はよくあることなのです。

自動車ローンというのは、あくまでクルマ購入資金を貸してくれるというもの。クルマを売却してもローンは残るので注意しましょう。

クルマを売ってもローンは残る

自動車ローンには、大きく以下2つの契約があります。

  1. 残価設定型ローン
  2. 一般的な自動車ローン

残価設定型ローンの場合、クルマを返却したらその時点でローン契約も終了します。あくまで契約時に指定された条件を満たしていればの話ですが、基本的にはクルマを返却すれば問題ありません。

しかし問題は一般的な自動車ローンで、これはクルマを返却してもローンは終わりません。買取店は、あくまで買い取るクルマに対する査定額を振り込みます。つまり、その中から残債を返済しないと自動車ローンだけ残ってしまうのです。

またローン会社によっては、クルマを売却するならローンも返済しないといけない契約になっていることもあります。そのため、クルマを売るときにはローンの扱いが非常に重要になってくるのです。つまり残価設定型ローンのように、ローン会社にクルマを返すだけで契約終了とはならないのです。

買取価格でローン残債の処理が変わる

自動車ローンはクルマを売却しても残ります。そのため、クルマを売ったあとに自分でローンを精算しなければいけません。そこで問題になってくるのが「ローン残債と買取価格、どちらが高いのか」ということ。下記2つのケースでは、売却後の残債処理の方法が変わるのです。

  1. 車売却額がローン残債を上回るケース
  2. 車売却額がローン残債を下回るケース

売却額がローン残債を上回っていればなんの問題もありませんが、下回っていたら若干面倒なことになります。これから、2つのケースに分けてわかりやすく解説していきます。

ケース1.クルマ売却額がローン残債を上回るケース

ローン残債よりもクルマ売却額が多い場合、基本的には買取店に処理を任せることができます。車売却時はローンを精算する必要があるのですが、この手続きを買取店が代行してくれるのです。

例えば、ローン残債が100万円で売却額が150万円の場合、買取店は以下の手続きを行います。

  1. 売却額の150万円を使い、ローン会社に100万円を一括返済する
  2. 残りの50万円をあなたに振り込む

ローン会社からしたら、一括返済してくれるのであれば手続きを渋る理由はありません。名義がローン会社になっている場合、売却には所有権解除という手続きが必要になります。

しかしローン残債より売却額が上回っている場合、その手続を買取店が代行してくれるのです。そのため、このケースはクルマを売却するまでの流れだけ覚えておけば問題ありません。売却額でローンが一括返済できる場合の売却の流れは、以下の通りです。

  1. 買取店で「ローン中のクルマを売りたい」と伝える
  2. 査定の結果、売却額がローンを上回ることを確認する
  3. 買取店がローン会社とやり取りして売却手続きを行う
  4. 一括返済してもお金が余れば、差額の入金がある

書類も買取店の指示で用意すれば問題ありませんが、事前に「所有権解除依頼書」を用意しておけばスムーズです。ローン会社に「売却するため所有権解除依頼書を送ってほしい」と依頼しておきましょう。

その際に正確なローン残債が伝えられるので、査定日の時点で「いくら以上で売れれば良い」という指標になります。

このように、ローン残債より売却額が上回っているケースは手続きがシンプルです。

クルマ売却額がローン残債を下回るケース

クルマを売却してもローンが返済できない場合、差額を自分で支払うことになります。ローンを精算してからでないと売却もできないため、以下3つの中から対処法を選択することになります。

  1. 自腹で差額を支払う
  2. 差額を再ローン契約する
  3. 残債を次の車のローンに上乗せする

1.自腹で差額を支払う

ローン残債と売却額がほぼ同じだった場合、ほんの少しだけであれば自腹で差額を支払うという方法があります。数万円程度であれば現金で補填すれば問題ありませんが、差額が数十万円となれば別です。

貯金を切り崩して対応することもできますが、基本的にはおすすめしません。手持ち資金を投入してまで、差額を補填するのは家計への負担が大きいからです。

2.差額を再ローン契約する

差額を再ローン契約する場合、以下3パターンが考えられます。

  1. 新車に買い換えるパターン:ディーラーで新車ローンに残債を上乗せする
  2. 中古車に買い換えるパターン:中古車販売店で次のクルマのローンに残債を上乗せする
  3. 売却だけのパターン:差額分をカードローンなどで借りる

クルマの買い替えを伴う場合、新車中古車問わず方法はカンタンです。営業マンに事情を話し、次のクルマのローンに残債分を上乗せしてもらえば良いのです。そして買い替えを伴わない場合、差額はカードローンなどで用立てる必要があります。なぜなら、自動車ローンはクルマの購入を条件に契約するものだからです。

クルマを購入しない場合、自動車ローンを契約することはできません。そのため、使用用途自由のカードローンなどを利用することになるのです。ただしカードローンは自動車ローンに比べて金利が高く、基本的にはおすすめしません。どうしても売却しなければいけないときに、やむを得ず使う事を想定しておきましょう。

3.残債を次のクルマのローンに上乗せする

2つ目のケースと内容は重複しますが、残債を次のクルマのローンに上乗せする際には注意が必要です。手続きとしてはカンタンですが、それによって毎月の返済額は確実に増えます。

無理な買い替えにならないよう、しっかりシミュレーションを行いましょう。またローン契約において、前車のローン上乗せは心証が悪く、審査に通らない場合があります。ローン上乗せに関しては、ローン会社の審査次第となることを覚えておきましょう。

ローンが残っているクルマを売るときの必要書類

ローンが残っているクルマを売るとき、車検証上の所有者が誰なのかによって必要書類が変わります。車検証を確認し、所有者の欄に誰の名前が記載されているのかを確認しましょう。

  1. 所有者が自分のケース
  2. 所有者がローン会社のケース

1.所有者が自分のケース

所有者が自分のケースの必要書類
銀行ローンでクルマを購入している場合、所有者は自分になっているケースがあります。この場合は、自分のクルマとして売却することができます。その際に必要な書類は、一般的なクルマ売却と同じで、以下の通りです。

  • 自動車検査証(車検証)
  • 自賠責保険証明書
  • 自動車税納税証明書
  • リサイクル券
  • 印鑑登録証
  • 実印

上記が必要な書類となりますが、軽自動車は印鑑登録証と実印が必要ありません。認印でいいので、売却手続き時は用意しておきましょう。

車検証に記載されている住所が引越し前になっている場合、現住所とのつながりが証明できる戸籍謄本が必要です。また、名義は自分になっていても、クルマを売却したらローンを一括返済しなければいけない契約になっていないか、念の為確認しておきましょう。

2.所有者がローン会社のケース

所有者がローン会社のケースの必要書類
ディーラーローンや中古車販売店のローンでクルマを購入している場合、名義がローン会社またはディーラーになっているケースがほとんど。この場合、クルマ売買の契約は買取店とローン会社が交わすことになります。

買取店とローン会社が協議して、そのまま手続きをしてくれるのであれば必要な書類はありません。しかし買取店から「先に所有権解除をして欲しい」と言われた場合、ローン会社に所有権解除の依頼をすることになります。

所有権解除を依頼するためには、まずはローンを完済する必要があります。その後、以下の書類を用意した上で所有権解除を申請します。

  • 所有権解除依頼書
  • 免許証
  • 車検証
  • 自動車税納税証明書

所有権解除依頼書は、ローン会社に依頼をすれば郵送してもらえます。ディーラーでローンを組んだ場合は上記の書類を持ってディーラーへ行きます。別途ローン会社と契約している場合、上記の書類を郵送します。その後、ローン会社から「譲渡証明書・委任状・印鑑登録証」が送られてくるので、運輸支局で所有権解除の手続きを行いましょう。

少し面倒に感じるかもしれませんが、一般的には買取店が代行してくれます。所有権解除をして欲しいと言われるのは、ローン残債が多すぎて売却額でカバーしきれないケースに多いのです。その場合、前章までの説明を思い返し、売却をもう一度検討し直しましょう。

残ったローンを次の自動車ローンに上乗せできる?

記事の冒頭で、残ったローンを次の自動車ローンに上乗せする方法をご紹介しました。できるケースとできないケースは、上乗せ後のローンがいくらになるのかで決まります。

上乗せした金額のローンが高額になれば、当然審査に通らないため利用できません。またディーラーや中古車販売店によっても断られる可能性があるので、購入時はしっかり確認しましょう。

しかし、公式サイトとローンの上乗せができると紹介している中古車販売店もあります。それが、本章でご紹介するガリバーの「プラスローン」です。

プラスローンとは、ガリバーが提供するサービス

売却したクルマのローンが残り、次のクルマも購入したいとなれば、次のクルマのローンに前車のローンを上乗せすることになります。ガリバーでは、これを「プラスローン」として提供しています。

たとえば、ローン残債が200万円で、クルマの売却値が150万円だと50万円分のローンが残ります。プラスローンを利用すると、次のクルマの購入額が200万円だった場合、残債50万円と購入額200万円の計250万円分のローンを組むことができます。

※引用:ガリバー公式サイト「ローンが残っているクルマの売却」より

これは、クルマの売却と次のクルマの購入、どちらもガリバーで行うことで利用が可能。当然審査がありますので、金額によってはプラスローンを利用できない可能性があります。買取価格次第なので、詳しくはガリバーの店舗で相談することになるでしょう。

ローン残債があるクルマの売却は、何よりも「クルマを高く売る」ことが重要なカギを握ります。

>>「ガリバー」の詳細ページはこちら

ローン中のクルマは「いかに高く売るか」がカギ

クルマを高く売るコツ
ローン返済中のクルマを売る際に、ローン残債よりも売却額が上回れば問題は全て解決すると言っても過言ではありません。

そうなると、今のクルマをいかに高く売るのかがカギとなります。そこで本章では、クルマを高く売るコツを3つご紹介します。

  1. 3社以上で競わせる
  2. 高く売れる時期に売る
  3. モデルチェンジ前に売る

上記3つのコツを掴めば、クルマを最高価格で売ることが可能。これから、上記3つのコツを詳しくご紹介していきます。

3社以上で競わせる

クルマの買取価格は、最低でも3社以上で競わせるようにしましょう。1社だけでは足元を見られるため、最高価格が提示されることはありません。中古車には定価がなく、どうしても査定価格が適正かどうかを判断することができません。そこで、複数社を競わせて平均値を取り、自分のクルマの正しい相場を把握するのです。

また競わせることで、思った以上にクルマが高く売れることがあります。とはいえ、複数社の査定を受けるのは非常に面倒です。そこで活用したいのが、車一括査定というサービス。これは無料で使えるインターネット上のサービスで、売りたいクルマの「車種・年式・走行距離」を入力すれば、複数社に査定の依頼ができてしまうというものです。

面倒な情報入力が1度で済んでしまうため、複数社の査定を受けたい人にオススメ。あとは買取店と査定日を調整し、自宅で査定を受けるだけ。各社の査定額を比較して、一番高い業者に売ればいいのでカンタンです。

車一括査定はいくつかありますが「カーセンサー」がオススメです。

詳細については「【2023年最新】車一括査定のおすすめランキング決定版!6サイトを徹底比較」でご確認ください。

高く売れる時期に売る

クルマには高く売れる時期というのがあります。それは「1月~2月、7月~8月」の年2回です。

中古車は、新生活需要が高まる3月と、決算期の9月に最も売れます。その時期に販売する車を確保するため、各買取店は少し前から在庫の確保を行います。そこで、1月~2月と7月~8月に積極的に買い取りを行うのです。

この時期に買い取ったクルマは、需要が高まる翌月にすぐに売れることが予想されます。つまり長期在庫になるリスクが低いため、高価買取されやすいのです。また平常時よりも潤沢に予算を確保している影響から、買取価格を上げやすいという理由もあります。

クルマの高く売れるコツや時期については、「クルマを売るならどこがいい?高く売れる時期やコツ」で詳しく解説しています。

モデルチェンジ前に売る

クルマの買取価格は、そのクルマの需要によって大きく変わります。需要が下がってしまう大きな要因としてモデルチェンジがあり、旧型になってしまうと買取価格もぐっと下がってしまいます。

そこで、モデルチェンジ前に売ってしまうという方法があります。クルマは1年に一度、年次改良と呼ばれる小改良があり、これに関しては買取価格に大きな影響は与えません。しかし2~3年に一度行われるビッグマイナーチェンジは、安全装備や外装デザインの変更などがあります。

こうした変更が行われると、旧型の買取価格は下がってしまいます。また、5~10年に一度行われるフルモデルチェンジは、内外装のデザインが大きく変わります。クルマの基本的な部分が全て入れ替わり、完全な新型として生まれ変わります。

この場合、今までのモデルは「型落ち」として需要が下がってしまうのです。モデルチェンジの情報は、最近はインターネットでカンタンに調べられます。こまめに情報をチェックして、モデルチェンジの情報を掴んだら早めに売却しましょう。

まとめ

本記事では、ローンが残っているクルマを売るために知っておきたい情報をご紹介しました。ローン中のクルマを売ることは可能ですが、自己所有なのかローン会社所有なのかの確認は必須です。

自己所有なら普通のクルマを売る方法と同じですが、ローン会社所有の場合は「所有権解除」が必要になります。所有権解除は買取店が行ってくれるケースが大半ですが、売却額でローンを相殺できない場合は、自分で所有権解除を行わないといけない可能性があります。

売却額がローンを上回るかどうかがカギなので、ローン中のクルマを売るならまずは正確な査定額を把握しておきましょう。複数社の査定を受ければ、正確な査定額がわかります。

その上買取店同士が競合するため、相見積もりとなって買取価格が上がることも期待できます。複数社に査定依頼をするのが面倒なら、車一括査定を活用しましょう。

(文:石川貴裕)

この記事の著者

石川 貴裕

石川 貴裕 近影
上場企業で車一括査定サービスの責任者を従事。その際に大手の車買取店との折衝やコールセンターの見学を体験。JPUCなどの車買取業界の健全化に向けた取り組みにも参加。2017年12月に退職後、合同会社ラビッツを設立。合同会社ラビッツでは、中古車売買のお得情報を発信するメディア「パンダ店長が教える車買取・中古車購入バイブル」や不動産売買のお得情報情報を発信するメディア「不動産売却の教科書」を運営している。